2019 Fiscal Year Research-status Report
超微細ナノカーボン・プロセッサのアーキテクチャに関する研究
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18K19778
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
三輪 忍 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90402940)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | プロセッサ / アーキテクチャ / CNFET |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,CNFET (Carbon Nanotube Field Effect Transistor) 回路の評価実験,および,CNFETプロセッサ向けのマイクロアーキテクチャ開発を行った. CNFET回路の評価実験では,プロセッサ内の主要なユニットである演算器とSRAMについて,CNFET化による低遅延・省電力効果を評価した.具体的には,ブロック型桁上げ先見加算器とシングルポートの6T SRAMのSPICE回路を実装し,HSPICEにより回路の遅延,動的消費エネルギー,静的消費電力を評価した.評価には,CNFETはStanford CNFETモデル,シリコントランジスタはPredictive Technologyモデルを使用した.評価の結果,ブロック型桁上げ先見加算器は,CNFET化によって静的消費電力が約1%に,動的消費エネルギーが約30%に,遅延時間は約15%になることがわかった.また,SRAMは静的消費電力が13~20%に低減し,データ書き込み時は動的消費エネルギーが約15%に,遅延時間が1~3%に低減し,データ読み出し時は動的消費エネルギーが7~15%に,遅延時間が10~15%に低減することがわかった. CNFETプロセッサ向けのマイクロアーキテクチャ開発では,CNFETプロセッサではクロック周波数を維持しつつALUカスケーディングが可能になると想定し,多段ALUカスケーディングを行うプロセッサにおける命令スケジューリング方式を提案した.提案手法では,命令キュー内の命令に対してデータ依存グラフを作成し,最も長い枝の命令列を優先的に選択して発行する.本手法をGem5に実装して評価を行った結果,従来の命令選択方式に対してIPCが0.1~0.29ポイント向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度からの継続課題としてプロセッサアーキテクチャの評価基盤開発が残っており,2019年度は性能評価基盤としてGem5の導入を行った.また,電力・面積評価基盤に必要とされるCNFET回路の電力・面積モデルの開発に向けて,2019年度はHSPICEを用いてCNFET回路の電力評価を行ったが,モデル開発には至らなかった. 当初の計画では,2019年度は上記の評価基盤を用いてCNFETプロセッサアーキテクチャの設計探索を行う予定であったが,評価基盤が完成していないことから設計探索に着手できなかった.2019年度は,設計探索を行う代わりに,当初の計画を変更し,2020年度に行う予定であったユニットの改良法(具体的にはALUカスケーディングのための命令スケジューリング方式)の検討に着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度上期は,開発が遅れている電力・面積評価基盤の開発に注力する予定である.開発を加速するため,場合によっては外部の専門家に協力を依頼することも考えている.また,現在,実装・評価に協力する学生として1名の大学院生を確保しているが,場合によっては1名の4年生も実装・評価に加えることを検討中である. 2020年度下期は,上記の評価基盤を用いて,2019年度に行う予定であったCNFETプロセッサアーキテクチャの設計探索を行う予定である.
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Causes of Carryover |
実装・評価に協力する大学院生をRAとして雇用する計画だったが,2019年度は該当する大学院生がいなかったために残額が生じた.2020年度は,年度開始当初から1名の大学院生をRA雇用する予定であったが,コロナ禍により大学が閉校中のため,まだ雇用に至っていない.大学が開校次第,当該学生をRA雇用する予定である.
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