2021 Fiscal Year Research-status Report
Ear Authentication System Using Smartphone
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18K19791
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
梶川 嘉延 関西大学, システム理工学部, 教授 (30268312)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 耳認証 / 個人認証 / バイオメトリクス認証 / 機械学習 / スマートホン / 耳介伝達関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、スマートフォンの生体認証技術が普及し、指紋認証と顔認証が主流となっている。しかし、指紋認証は手が濡れていると使用できず、顔認証はマスクを着用していると認証精度が下がる。顔や指と同様に、バイオメトリクスとしての耳にも人間を識別できる特徴があり、個人認証の研究対象になっている。これまでにも、耳介の音響伝達関数(PRTF: Pinna Related Transfer Function)を利用した認証システムが研究されている。しかし、スマートフォンの位置が認証の度に変動するため、認証精度が低下することが問題視されてきた。そこで本研究では、PRTFを用いたスマートフォン上でのマルチモーダル個人認証を提案し、その有効性を検証した。具体的には、PRTFに加えて、耳介画像と位置センサー情報を併用し、認証率の向上を目指した。PRTFの特徴量としては振幅特性をサブバンドに分割し、サブバンドごとの振幅値の代表値を用いた。また、耳介画像については転移学習を利用してすでに高い精度が保証されている畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用することで特徴量を抽出した。その結果、PRTFのみを用いたシングルモーダル認証における誤認証率は9.3%もあったのに対し、画像とセンサー情報を併用したマルチモーダル認証では誤認証率を1.6%まで低減できることを実証した。したがって、提案する認証方式は、各測定における位置の変化を補償し、ロバスト性を向上できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、スマートフォンが普及し、さまざまなバイオメトリクス認証方式が実装されるようになった。生体認証の中でも、指紋認証と顔認証は最もポピュラーな認証方法である。しかし、指紋認証の場合、指の乾燥や皮脂などの影響で照合精度が低下する。また、指紋は簡単にコピーできるため、安全性に問題がある。また、顔認証の場合、マスクやメガネをかけている場合、加齢や体重変化により顔の形状が変化した場合、光が当たった場合などは、認識されない可能性がある。そこで、本研究では、耳の形状の個人差を利用した耳認証について考察してきた。耳の形状を用いた生体認証の研究では、耳介の形状は個人差が大きく反映されるため、動画や画像を用いた認証方式が多い。一方、耳介の音響伝達関数:Pinna Related Transfer Function (PRTF) に基づく認証システムの実現可能性もこれまで示唆されてきた。これまでの検討から、スマートフォン位置の違いによってPRTFが変化することを実証してきた。これまでの研究で、異なる方向からPRTFを測定し、その位置情報を学習データに加えることで、認証システムのロバスト性が向上することを示してきた。また、位置情報を明示的に提供する代わりに、スマートフォンのセンサーから得られる位置情報を利用することで、認証システムの頑健性が向上することも実証した。さらに、PRTFを用いたスマートフォン上でのマルチモーダル個人認証を提案した。提案方式では、PRTFに加えて耳介画像と位置センサー情報を併用し、認証率の向上を目指した。その結果、PRTFのみを用いたシングルモーダルにおける誤認証率9.3%が、画像とセンサー情報を用いたマルチモーダル認証では1.6%まで低減されることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、耳介画像の特徴が他の特徴よりも認証に大きな影響を与えることがわかった。これは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の転移学習に用いた耳介画像の特徴抽出法の有効性に起因すると考えられる。PRTFは、サブバンドごとに振幅値を平均化することで特徴量を抽出した。この方法は、次元数の削減には有効であるが、特徴抽出の方法としては不十分であり、より有効な特徴抽出の方法を検討することが必要である。また、髪の毛などの耳介の障害物やピアスなどの装飾品、光量が十分でない場合、耳介画像の認証率が著しく低下することが知られている。このような場合、PRTFに基づく特徴量は、耳介画像に基づく特徴量よりも優れている可能性があるため、音響情報のみを用いた認証方式について再度検討する必要がある。具体的には、耳介からの反射音の時系列データを利用して一次元もしくは二次元のCNNを用いた認証方式について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりすべての学会がオンライン開催となったため研究成果発表に必要となる旅費の支出がなくなった結果、次年度の使用額が生じた。次年度は対面での学会も開催される模様のため、学会発表における旅費として利用する予定である。
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