2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19799
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
奥 寛雅 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40401244)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 光学系 / 食べられる / 寒天 / 食品 / 飴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,(a)寒天製光学素子の特性評価と,(a)複数寒天光学素子を組み合わせた光学系の構築手法開発とを行った. (a)寒天製光学素子の特性評価では,寒天のもつ面成型精度を評価するために,寒天で平面と凸面からなる凸レンズ,もしくは平面と凹面からなる凹レンズを成型した.面の成型精度は,レンズに入射させた平行光の透過波面をShack-Hartmann波面センサで計測することで行った.また,凸レンズは解像力チャートを実際に結像させることでもその性能を評価したところ7.13LP/mmを得た.ほぼ同程度の焦点距離と径をもつガラス製のレンズで同じ条件で計測すると,20.2LP/mmであったので,解像力としてはおおよそ半分弱の性能であることがわかった.寒天は弾性をもつゲルであるため,重力などによる変形がこの性能劣化をもたらしていると推測された. (b) 複数寒天光学素子を組み合わせた光学系の構築手法を開発した.この過程で,寒天で成型したレンズはレンズの機能をもたない部分も透明で光学系を構築する際にその部分が迷光を生み出すという問題があることが判明した.そこで,寒天を原料としつつ光の透過性が非常に低い羊羹に着目し,羊羹と透明な寒天とを一体成型することでレンズと絞りを一体成型したレンズを開発した.これにより,レンズ外部の不要光を透過しない,食べられる光学素子を一体成型できることがわかった. また,寒天製の凹レンズと凸レンズを焦点位置を共有するように配置することでアフォーカル系を構築することにも成功した.このアフォーカル系を通して像を計測すると,実際に像が拡大,もしくは縮小されることが確認できた. (c) 寒天は乾燥に弱いという特性があり,この欠点を克服するため飴を原料とした光学素子形成手法も開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って寒天を原料としたレンズと,それを組み合わせた光学系を実証した.また,当初の計画では想定していなかった絞りと一体成型した寒天製の食べられる光学素子や,飴を原料とした光学素子の開発なども成功していることから,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
寒天には乾燥すると水分を失うために変形し,光学素子としての性能が変化するという特徴がある.この問題は飴などの,水分に依存しない素材を利用することで解決できる可能性が高い.昨年度,飴による光学素子の形成方法の基礎も開発できたので,寒天に加えて飴を素材とする光学素子や光学系についても研究を進める予定である.
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Remarks |
以下の2件を受賞した. ・2019年 インタラクション2019 インタラクティブ発表賞(PC推薦)(佐藤美子,船戸優希,奥寛雅) ・2019年 インタラクション2019 インタラクティブ発表賞(一般投票)(佐藤美子,船戸優希,奥寛雅)
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