2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19808
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
杉田 泰則 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30401780)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 聴覚刺激 / 脳波 / リズム / 同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
人がリズミカルな音に注意を向けた際、知覚したリズムに脳活動が同期することが知られている。本申請研究は、「聴覚的な注意機能と脳波との関係」、「脳波のリズム同期を引き起こしやすい音楽リズムの特徴」を調査・明らかにし、音と脳波のリズム同期現象、および注目音/非注目音の変化に対する脳波反応に着目した注目音推定技術の実現の可能性を検証することを目的としている。 本年度は、同期現象が見られる被験者、同期しやすい刺激音の調査を目的として、「2拍子」「3拍子」「4拍子」のリズム音を用いて、1つのリズム音だけが再生されている環境下で、その音を傾聴した際の脳波測定を行なった。測定した脳波の解析結果から、2種類の音源に対して脳波の同期現象が確認され(1サンプルt検定、有意水準5%で評価)、更に再現性も確認することができた。脳波同期には被験者依存性があり、刺激音の種類によって同期のしやすさが異なる可能性があること、同期が生じるか否か、また同期の生じるタイミングは被験者の集中力に大きく左右され、刺激音の高調波成分では有意性が小さくなる傾向があることも確認された。これらの結果は、今後の本研究を進める上で、貴重な知見となる。一方、脳波同期の確認できなかった被験者については、同期自体をしていないのか、あるいは脳波からの信号が微弱であるゆえに特徴を抽出できなかったのかは、現時点では不明である。したがって、非線形フィルタなどにより、脳波からノイズを事前に高精度で除去する手法やノイズ混入の少ない測定方法の検討も並行して行い、更なる調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定環境の構築と被験者とのスケジュール調整にやや難航し、脳波測定に関して当初予定していた被験者数に達していない。そのため、当初の研究計画と照らし合わせるとやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
測定環境については既に整っており、今後は計画的に脳波測定を行える見込みである。被験者数およびリズムの種類を増やして実験を行い、脳波データの収集・解析を進める。特に、複数の音が存在する中でも、傾聴している音のリズムに同期するか否かを調査・明らかにする。また、単に1つの音に傾聴するだけでなく、傾聴している音のリズムを心の中で刻む(リズム想起する)ことを被験者に課した実験を行い、脳波反応の違いを検証する。これは、注目する音に対して意識をより集中させる効果を期待するだけでなく、リズム想起による相乗効果により脳波リズムの同期を誘発する狙いがあり、その効果を検証・明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究成果発表のための参加旅費として使用する予定であったが、参加を予定していた学会が新型コロナウィルスの影響により中止となったため差額が生じた。研究計画に変更はなく、今後の学会参加旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)