2018 Fiscal Year Research-status Report
複合鏡による多重鏡映像を用いたカメラキャリブレーション
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18K19815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
延原 章平 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00423020)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | コンピュータビジョン / カメラキャリブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでカメラキャリブレーションでは,格子パターンを印刷した平面など,形状が既知である何らかの参照物体を撮影することで実現されてきたが,その際には「実際に撮影対象とする空間全体をカバーするように参照物体を置き,その姿勢を変えながら複数回撮影する」必要があった.そのため広い範囲を写す広角カメラでは数メートル四方の参照物体を用意する物理的な困難さが,また逆に望遠カメラではその被写界深度の浅さからフォーカスが合う範囲で参照物体を複数姿勢撮影することが困難であった.すなわちこれまでの手法には画角と被写界深度という2つの点で,広角あるいは望遠カメラのキャリブレーションに問題があった. これのような問題に対して本年度は複合鏡を用いたカメラキャリブレーションに取り組むことで,特に画角の問題に対する検討を行った.具体的には複合鏡を用いることで,物理的には1点の直接投影像とその反射像を複数撮影することができればキャリブレーションを行うことができることを原理的に示すとともに,実画像を用いた実験を通じてその有効性を確認することができた. またこの問題への取り組みを通じて,上記のような直接像と反射像を画像中において同定する問題が,キャリブレーションを行うことと同義であるとの着想を得ることができた.すなわちこれまでは人手による像の同定を入力としたキャリブレーションを前提としていたところを,完全に自動化することが期待できるため,この問題について今後も取り組んでいくことを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合鏡を用いることでキャリブレーションに使用する物体が1点でよく,従来のように画角の問題から平面などを用意することが困難な状況であってもキャリブレーションを行うことができることを実証することができた.またこの問題への取り組みを通じて,完全に自動化されたキャリブレーションを実現するための着想を得ることもできている. 一方で被写界深度の問題に対しては,球面レンズを導入することで被写界深度を増大させることができるとの知見を得ることができたが,キャリブレーション手法として確立させるには至っていない.次年度はこの点についても引き続き研究を継続することを予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究を通じて,画角の問題からキャリブレーション物体を用意することが困難であるような状況に対して,1点のみの特徴点という非常に簡便に実現できる物体であってもキャリブレーションが実行可能であることを示すことができた.またこの問題への取り組みを通じて,キャリブレーションを行うことと,そのような特徴点を検出して直接像・反射像を同定することが同義であるとの着想も得ることができた. 今後は特にこの着想に基づいて,現在は人手によって行っている特徴点検出と直接像・反射像の同定を自動化することができるアルゴリズムに特に取り組むことを予定している.
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Causes of Carryover |
当初の予定では専門業者による複合鏡の試作を見込んだ費用を計上していたが,当該年度に取り組んだアルゴリズムの実証のために使用する機材は自作可能な範囲であったために費用を圧縮することができた. 今後被写界深度に関する問題に取り組むにあたっては精密加工が避けられないため,今回の繰越額と次年度予算を合わせてそのような加工費に充てることを想定している.
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