2018 Fiscal Year Research-status Report
運動時の注意の向け方が運動制御機序に及ぼす影響の解明
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18K19823
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00242040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40205737)
橋爪 善光 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (20779847)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 注意 / 感覚運動統合 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,注意の向き方や,課題の捉え方が運動パフォーマンスにどのような影響を与えるかを以下のように検討した。 1) 注意の向け方によって筋活動に変化が生じるかを探るため、クラウチングスタート課題の運動計測実験を実施した。具体的には,蹴り出しにより生じる音に注意を向ける外的注意と、身体の動かし方に注意を向ける内的注意を指示した場合のそれぞれについて,クラウチングスタート動作中の下肢16筋の筋電位を計測した。取得データの解析は平成31年度以降に行っていく。 2) 最大跳躍タスクについて,注意による身体運動の変化を探るための予備実験を開始した。具体的には,予備実験に参加した被験者からの感想・意見や,取得データの解析によって,被験者への外的注意と内的注意についての指示方法の改善や,準備すべき計測機器,計測実験環境の再検討を行っている。再実験及び解析は平成31年度以降に実施していく。 3)「課題内容の主観的捉え方」が運動パフォーマンスに与える影響を明らかにするため,手先を目標まで自然に動かす条件と「手先が他者によって誘導されている」と仮想しながら動かす条件における運動軌道の違いを実験的に分析した。その結果,後者の条件下では手先軌道の直線性が向上したほか肩関節や肘関節の使い方に変化が生じることが明らかになった。以上の結果は,同一の運動課題であっても運動者の主観的な捉え方に依存して身体の使い方が変化することを客観的に示したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動タスク遂行時の注意の向け方が,運動パフォーマンスにどのような影響を及ぼすかを探るための複数の実験を開始した。今後,必要に応じて実験条件を見直し,再実験やデータ解析を行っていく予定である。また,課題の捉え方で運動パフォーマンスが変化することを確認できる成果も得ている。以上の成果により,初年度の進行状況は順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に運動計測実験を開始したクラウチングスタート課題や最大跳躍課題について,外的注意及び内的注意の指示内容や計測条件等の必要に応じた見直し及び再実験を行う。運動計測実験においては,運動タスク遂行時の関節軌道,筋活動及び,床反力等を計測し,注意の違いが関節軌道や筋活動に及ぼす影響を解析することで,注意の違いが制御機序に及ぼす影響をしうるかを評価する。 計測筋電位に対しては非負値因子分析を用いて筋活動基底(筋シナジー)を推定し,注意がこの筋活動基底に及ぼす影響を解析する。関節軌道についても,個々の関節軌道に関してのみならず,関節間の協調的運動(関節間シナジー)に着目して,注意による影響を解析する。 以上の解析結果により,仮説「注意によりタスク変数とその制御機序が変 容する」の検証を行なっていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は,当初予定していた情報収集及び学会発表のための出張が,日程の都合により予定より少なくなったためである。次年度使用額は,今後の情報収集及び学会発表の出張旅費及び学会参加費,運動計測実験の補助のための謝金に利用する予定である。
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