2019 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚電気刺激の惹起する刺激臭の脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K19828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 一真 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (60783686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 英由樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70447035)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 嗅覚電気刺激 / バーチャルリアリティ / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では嗅覚電気刺激によって惹起される刺激臭の脳内表象を解明し,嗅覚電気刺激のもたらす感覚の生起機序の解明し,その機序に基づいた刺激設計によって刺激臭以外の臭いを経皮電気刺激によって惹起する手法の開発を目指すものである. 本年度は実際にfMRI撮像中に電気刺激を印加し,その時の脳活動を計測する予備実験を行った.本研究においてはfMRI内で脳活動計測を行いつつ電気刺激を実施する.このため,市販の専用刺激回路では刺激強度が低く,惹起される刺激臭が通常の刺激回路と比較して微弱であるという技術的課題に当たった.この技術的課題の解決策として,専用刺激回路の刺激最大電圧を上昇させる回路調整を予定している.今回の実験では数十Hzの連続した矩形波刺激を適用している.この刺激波形の変調による臭いの質や臭いの強度の変化によっても脳活動計測ができるかどうかを検証するために,回路調整などを行っている. 一方で計測した結果としては,島周辺の活動増加がみられる被験者がいるなど,少なくとも脳活動賦活が見られた.このデータを利用して,さらなる解析を重ねていく予定である. さらに,嗅覚電気刺激が惹起する刺激臭が化学物質によって惹起される刺激臭と等価な神経活動を引き起こすかどうかを心理物理実験によって検証すべく,本年度は臭い物質を提示する空気ポンプ型嗅覚ディスプレイの開発にも取り組み,そのプロトタイプを開発した.このプロトタイプでは,臭い提示時間を精緻に制御するために,臭い物質の噴射と吸引を時間差で行えるように構成している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における最大の懸念は,fMRIによる磁場と電気刺激との干渉によるノイズが撮像画像上に現れること,全頭にある嗅球ならびに嗅覚関連脳領域が精緻に計測できない可能性があることであった.一方で,実計測では,懸念されていた干渉は特に生起せず,かつ嗅覚関連領域でも島等の活動が見られたために,本実験を始めても十分に適切なデータが期待できると考えられる. よって,本研究最大の目的である,嗅覚電気刺激の惹起する刺激臭の脳内表象は計測できるめどが立ったといえるため,おおむね順調とした.
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Strategy for Future Research Activity |
脳活動計測を引き続き行う.また,電気刺激によって惹起される刺激臭が化学物質による刺激臭と等価な神経活動を引き起こすかどうかを検証すべく,刺激臭特有の人の応答を心理物理実験によっても検証していく.
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