2018 Fiscal Year Research-status Report
DNAオリガミナノ構造体を介したナノスケール膜ドメインの創出とデザイン
Project/Area Number |
18K19831
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 勇輝 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50636066)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | DNAオリガミ / 脂質膜 / 相分離 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成29年度は,DNAオリガミナノ構造体の設計・構築および疎水基修飾を進めるとともに,脂質膜面への局在条件を検討した. 項目A.DNAオリガミの形状を脂質平面膜面に転写する技術の開発 特定の面にコレステロール修飾を施したDNAオリガミナノ構造体を設計・構築し,生化学的実験および原子間力顕微鏡(AFM)観察により,ナノ構造体の形成を確認した.構築したナノ構造体がマイカ基板支持脂質平面膜へ局在することをAFM観察により評価したほか,共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた観察により,リポソーム表面への局在についても解析した.コレステロール修飾の数だけでなく,コレステロール分子とナノ構造体とを繋ぐリンカー鎖の向きや長さによって,脂質膜面への局在効率が変化することを見出した. 項目B.DNAオリガミの二次元自己集合化を利用した相分離膜ドメインパターニング技術の開発 形状の相補性と平滑末端間のスタッキング相互作用にもとづいて大規模な格子構造へと二次元自己集合化するDNAナノ構造体を設計・構築した.このDNAナノ構造体をマイカ基板支持脂質二重膜上で自己集合させ,AFMにより格子構造の形成を評価した.脂質膜界面を集積場とする本研究の手法においては,脂質膜の化学的・物理的性質が二次元自己集合化の成否を決定付ける要因のひとつとなるため,液体無秩序相とゲル相が混在した相分離脂質膜上における自己集合化を検討した.その結果,各相分離ドメインに特徴的な集合体が形成されることを見出した.さらに,ゲル相表面にランダムに集積したDNAナノ構造体を,溶液の塩濃度をリアルタイムに制御することで,秩序的な格子構造へと変化させることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
項目Aおよび項目Bともに,概ね計画通り進行している.本年度は特にDNAナノ構造体側の設計・構築および修飾に重点をおいたが,2019年度は脂質膜の組成調整を進め,計画実現を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の計画に大きな変更はない. 項目A 光応答性オリゴヌクレオチドなどを利用した反応により,DNAナノ構造体と修飾基を切り離し,膜表面から脱離させる.この際,DNAナノ構造体の形状が膜面に相分離ドメインとして転写され,それが維持されるような諸条件の最適化に取り組む. 項目B 上記の技術を2018年度の成果と組み合わせることで.実現を目指す.
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Causes of Carryover |
2018年度は,修飾オリゴヌクレオチドへの出費を必要最小限に抑えることができたため予定より使用金額が少なかった.2019年度は,光応答性オリゴヌクレオチド等の購入に使用する.
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Research Products
(7 results)