2019 Fiscal Year Research-status Report
振動工学の概念に基づき血清の動的性質(モード)をNMRでとらえる新規検査法の開発
Project/Area Number |
18K19840
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
柚木 知之 京都大学, 医学研究科, 助教 (50639094)
金涌 佳雅 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80465343)
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (20452352)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 血清 / NMR / モード解析 / 発熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
血清は日常用いられる臨床検体で、血清中には体内の膨大な情報が含まれている。もし一回の血清の計測で、血清中の各物質や物質間相互作用に関する多彩な情報を、簡便に、迅速に、精度よく、引き出せる検査法が開発されれば、医療の現場に与える影響は大きい。我々は、振動工学におけるモード解析の概念を取り入れたNMRモード分析法(NMRモード解析)を開発した。本法は、NMRメタボロミクス等の従来の化学分析とは全く異なり、血清の性質をNMRモードという物理量で評価する。 発熱は原因疾患の診断が難しい症状のひとつである。本研究課題では発熱患者の血清をNMRモード解析することにより、(目的1)NMRモード値と発熱の原因疾患および重症度に関連を見いだすことが可能か、(目的2)NMRモード値と各種臨床情報を照合し、モード値と病態がどのように関連づけられるか、を検討する。 平成30年度は、本研究の共同研究施設である聖隷浜松病院(研究協力者 渥美生弘)の倫理委員会に提出する書類を作成し、審査を受け、承認を得ることができた。令和元年度からは、(目的1)を明らかにするために、(研究1)「急病で病院を受診する救急患者のうち、体温が38度以上の患者から血清を収集し、NMRモード解析する」、(研究2)「発熱原因および重症度を診断できた患者の血清NMRモード値を用いてパターン解析を行い、発熱の原因や重症度を識別できるか検討し、結果を検証する」を開始するために血清検体の収集を開始したが、検体の採取に時間がかかった。令和2年度はさらに血清検体の収集に力を注ぎ、その後に検体のNMR計測と解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題の研究では、まず、京都大学医学部附属病院と聖隷浜松病院を急病で受診した20歳以上の患者で、救急外来受診時に体温38度以上の発熱を認め、発熱原因が診断可能な100症例から血清を採取することから始まるが、発熱患者の血清検体の入手に関して、京都大学医学部附属病院と聖隷浜松病院の倫理委員会で承認を得られたのが平成30年度末になった。平成31年度から血清採取を開始したが、予定よりも検体の収集に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度前半は、発熱患者の血清検体のNMR計測と解析に向けて、血清採取をさらに積極的に行う。
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Causes of Carryover |
令和元年度に血清検体がある程度集められ、その血清検体をNMR計測するための費用が発生すると見込んでいたが、令和元年度には血清検体のNMR計測は行わなかったため、令和2年度にその助成金を使用する計画である。
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