2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new "cocktail type" rodenticide
Project/Area Number |
18K19847
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石塚 真由美 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (50332474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 良徳 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40543509)
中山 翔太 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (90647629)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 殺鼠剤 / シトクロムP450 / 抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生齧歯類は35種以上の人獣共通感染症を媒介する。また、野生ラットは繁殖力の強さから離島へ生息域を広げ外来動物として 生態系を攪乱している。齧歯類の駆除方策として、殺鼠剤ワルファリンなど抗凝血系化学物質が比較的安全性が高いため広く利用された。一方、度重なる使用により抵抗性を持つ個体群が世界各地に出現している。その対策に欧米では致死性の高い第二世 代抗凝血系殺鼠剤が用いられている。しかしながら、これらは毒性が強く駆除対象外生物の二次被害が絶えない。一方、選択性 の高い新規殺鼠剤の開発は、感受性種差に関する毒性学的知見も少なく、困難である。そこで、当該研究は、in silicoシミュレーションによるサンプル入手が困難な抵抗性ラット・鳥類種における殺鼠剤感受性評価法の確立を目的とした。
本研究では、国内におけるげっ歯類、特にクマネズミの抵抗性の原因について、in vivo、in vitro、in silico解析により明らかにした。特に、これまで報告されているビタミンKエポキシド還元酵素の変異について、殺鼠剤ワルファリンおよび基質となるビタミンKの結合様式をin vitro酵素速度論的手法やin silicoでの結合性シミュレーションで解析し明らかにした。分子動力学シミュレーションを実施したところ、抵抗性群はワルファリンへの最も強力な結合サイトとされるPhe55とワルファリンとの距離が遠くなり、親和性が低下していた。
また、殺鼠剤を代謝解毒するシトクロムP450について、感受性個体と抵抗性個体における電子伝達系の違いを明らかにし、NADPH産生系が抵抗性獲得の原因になっていることを報告した。肝臓中でのNADPH産生を担う主要な経路であるペントースリン酸経路を解析した所、実際に抵抗性群が有意に高いNADPH産生活性を示した。
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