2018 Fiscal Year Research-status Report
超解像度顕微鏡による生きた細胞のDNA損傷修復過程のリアルタイム観察技術の開発
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18K19848
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 麻子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70609601)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | DNA損傷 / H2AX / 超解像度顕微鏡 / リアルタイムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、従来細胞を固定しなくては検出できなかった修飾型タンパク質の細胞内局在をリアルタイムにイメージングできる方法を開発することを目的として、平成30年度は以下に掲げる研究項目を実施し成果を得た。 【超微小粒子をリアルタイムで解析するための超解像度光学顕微鏡の開発】 研究協力者である高度技術研究所の清水グループが開発した超解像度広視野レーザー位相差顕微鏡は、独自に開発したレーザー光の干渉性と指向性を利用した“光アナログ画像処理技術”を用いることで、 80nmの微粒子や口腔上皮細胞の核内構造を観察できるほどの超解像度を有する顕微鏡である。平成30年度は、従来の位相差顕微鏡の概念を変えてつくられたこの顕微鏡を新たに設置した。 今回設置する超解像度広視野レーザー位相差研顕微鏡は正立型タイプであるが、研究室内に新たに設置することで、ライブイメージング実験をより適切な条件で行うことが可能となる。現時点では、使用する予定のレーザーにトラブルが生じたため、全体の60%程度のセットアップにとどまっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでリアルタイムイメージングが不可能であったリン酸化型H2AXを標識し、リアルタイムで観察するための手法として新規超解像度光学顕微鏡に着目した。当初の予定では、顕微鏡を開発している研究協力者が所属する高度技術研究所での顕微鏡の設置、実験実施を計画していたが、リアルタイムイメージングを行うにあたり、バイオ実験設備が顕微鏡と近い距離にあることが望ましいと考え、平成30年度は顕微鏡を新たに茨城大学内に設置することとした。そのため、顕微鏡のセットアップに時間を要しており、具体的なγ-H2AXのリアルタイムイメージング実験については未着手である。 しかしながら、顕微鏡が茨城大学内に設置されれば、金コロイド等によるγ-H2AXの標識実験、さらにはその観察はより簡便かつ迅速に実施可能となると期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度も引き続き超解像度光学顕微鏡の設置を行い、令和元年度の早い時期に完成を目指す。また、令和元年度は顕微鏡の設置とは独立して、金コロイドによる標識がγ-H2AXの局在に影響を与えないことを確認するために、放射線照射細胞を通常の免疫染色法と同様に固定し、金コロイド標識二次抗体を用いた免疫反応を行う。スライドを顕微鏡下で観察し、予想されるDNA損傷が検出されるかを評価する。 また、本研究は異分野の融合的研究計画であることから、研究成果やその進捗状況については研究協力者と密に連絡をとり十分な情報共有を行う。また、積極的な学会・研究会参加を行い、研究遂行に向けて尽力していく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、顕微鏡を開発している研究協力者が所属する高度技術研究所での顕微鏡の設置、実験実施を計画していたが、リアルタイムイメージングを行うにあたり、バイオ実験設備が顕微鏡と近い距離にあることが望ましいと考え、平成30年度は顕微鏡を新たに茨城大学内に設置することとした。しかしながら、現時点では、使用する予定のレーザーなど部品の調達にトラブルが生じたため、全体の60%程度のセットアップにとどまっており、未使用額が生じた。 当該経費は令和元年度に繰り越すことで、超解像度顕微鏡のセットアップを完了させる。
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Research Products
(4 results)