2019 Fiscal Year Research-status Report
硝酸の三酸素同位体組成を用いた氷河生態系の窒素循環速度の推定
Project/Area Number |
18K19850
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70700152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 硝酸 / 三酸素同位体組成 / 氷河 / 暗色化 / 窒素循環 / 硝化 / 脱窒 / アルベド |
Outline of Annual Research Achievements |
氷河や氷床は、巨大な淡水ストックとしての役割を 有し、地球表面のアルベドを変化させるため重要である。このため、氷河や氷床の縮小は、海水準の上昇や水資源の枯渇、気候温 暖化の加速など人間社会へ重大な影響を及ぼすため、 その原因解明や対策立案は急務である。 本研究では硝酸の三酸素同位体組成(Δ17O)という新しい環境トレーサーを導入 し、氷河生態系における窒素循環速度を定量する。このため、天山山脈ウルムチNo.1氷河(中国 新疆ウイグル自治区)を主たる研究地点と考えていた。しかし、2018年以降、中国国内の都合で調査が進められないため、今年度は2006年及び2009年に掘削された涵養域及び消耗域の浅層アイスコアの分析を行った。また、山形県月山における緑雪形成時における雪中の硝酸の起源・生成過程の解明を行った。以上の結果から、氷河表面及び内部における生物活動の指標を発見しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、天山山脈ウルムチNo.1氷河(中国 新疆ウイグル自治区)を主たる研究 地点としていたが、2018年以降中国国内の都合により調査が実施できない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
代替策として、浅層コアを使った窒素循環速度の定量に取り組む。すでに2006年、2009年のウルムチ氷河試料の分析を実施し、その予察的な結果は得られつつある。またアラスカのグルカナ氷河やモンゴルの氷河などの代替地などの検討を行っている。しかし、これらの調査は新型コロナウィルス感染拡大により出張・調査などが大幅に制限される可能性があるため、今得られているウルムチ氷河での結果の論文化を先に実施することで対応する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の繰越しがあったため、引き続き本年度から次年度に使用額が若干出た結果となった。初年度に予定していた氷河調査が先方の都合により中止となり、当該年度では予定していた分析を変更し2006年、2009年、2017年に採取された試料を用いた研究を実施した。すでに本研究の目的と合致する知見は得つつあり、関連した化合物であるアンモニア同位体分析の基盤構築もでき、最終年度に十分な分析及び解析、そして論文化を達成できる見込みである。
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Research Products
(8 results)