2018 Fiscal Year Research-status Report
大気微粒子の混合状態とその肺沈着の関係:次世代の健康影響評価に向けた解析
Project/Area Number |
18K19852
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
持田 陸宏 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10333642)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | エアロゾル / 混合状態 / 吸湿性 / 健康影響 / 肺沈着 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気汚染物質である微粒子(エアロゾル)の呼吸による体内への取り込みは、人の健康に悪影響をもたらす。大気中には様々な大きさと組成を持つエアロゾル粒子が存在し、呼吸器内の動力学的な過程に伴うその沈着の程度は、粒子の乾燥粒径と呼吸器内での吸湿成長に依存する。また、粒子の人体への作用も組成・沈着部位に依存する可能性が考えられる。このため、大気エアロゾルの健康影響のメカニズムを正確に把握するためには、エアロゾルの混合状態と呼吸器への沈着、さらにそれに引き続く生化学的な作用に至る関係の理解が重要だと考えられる。本研究では、吸湿成長測定用タンデムDMAと走査式モビリティパーティクルサイザによって得られる大気エアロゾルの乾燥粒径・吸湿性の情報などにもとづき、エアロゾルの混合状態と呼吸器沈着の関係を明らかにすることを目標としている。
本年度は、本課題の実施に先立って解析を始めていた、2010年夏季に名古屋で取得した大気エアロゾルの粒径-吸湿性分布のデータ(Kawana et al., 2014)を用いた解析を続けるとともに、2009年秋季に名古屋で取得した粒径-吸湿性分布のデータ(Kawana et al., 2016)を用いた解析にも取り組んだ。2009年に実施した観測では一日あたりの粒径-吸湿性分布の測定頻度がより高く、胸郭内(気管支および肺胞)における沈着の時間変動に着目した解析を始めた。呼吸器に取り込むエアロゾルの粒径-吸湿性分布が呼吸器沈着にどのように影響しているのかについて、今後さらに検討を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去に取得した観測データの解析に加えて、吸湿成長測定用タンデムDMA等を用いた新規の大気観測を行うことを計画していたが、次年度に持ち越すことにした。名古屋以外の地点において過去に取得した吸湿性データの解析も今後の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
名古屋において過去に取得した観測データの解析で得られる結果を整理し、得られた知見を踏まえて他地点の観測データの解析方法や、新規に行う大気観測の手法の詳細を検討することで、効率的な研究の推進を目指したい。
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Causes of Carryover |
次年度の研究について考慮し、少額ではあるが繰り越して次年度に使用することが望ましいと判断した。人件費の補填に用いることができる。
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Research Products
(1 results)