2018 Fiscal Year Research-status Report
14C同位体を用いた海洋古細菌による化学合成代謝による炭素固定量算出手法の開発
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18K19861
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
内田 昌男 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (50344289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60318194)
内海 真生 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60323250)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性炭素 / 古細菌 / 海洋 / 炭素循環 / GDGTs / 海洋微生物ループ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の分子生物学的手法を用いた海洋微生物学的研究の進歩から、非熱水性の海洋古細菌が海洋全層に分布しており、それらの古細菌が光合成非依存の化学合成独立栄養を高い活性で行っていることが遺伝子的(定性的)に示唆されるようになった(例えば、Karner et al. 2001)。本研究では、これら海洋古細菌の代謝特性を地球化学的手法で定量的に明らかにすることを目標とする。ここで得られる知見は、微生物による海洋炭素循環の定量的解明に資する手法開発であることから、将来的には海洋の新しい微生物ループおよび海洋炭素循環に関する定量的知見を提供することが期待される。本研究では、海洋微生物、特に海洋古細菌の細胞膜脂質の自然レベル放射性炭素同位体をトレーサーに用いた、海洋微生物による化学合成代謝の代謝量(CO2固定量)を算出するための手法開発を行う。これまでに、文献値を用いた試算からは、化学合成に関与する海洋古細菌の年間収支は、有光層における光合成量に匹敵する計算がなされているが(例えばHansman et al. 2009)、未だその実態は未解明である。本研究では、海水実試料から様々な方法を検討して、微生物試料を大量濃縮する。海洋古細菌のバイオマスから抽出した細胞膜脂質分子(GDGTs)の自然レベルの放射性炭素(14C)同位体の実測値を基に、同位体マスバランスを用いた動態実測値の測定と計算を行うことで、海洋古細菌による炭素固定の新規算出手法を開発するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大量抽出方法の検討実験に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
生細菌細胞分画を特異的に分取するプロトコールの開発とGDGTS分子の抽出法、微量AMS0-14C測定の前処理工程の検討を行う。
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Causes of Carryover |
加速器質量分析装置の故障、メンテによる実験の作業の遅延により、14C分析の検討実験がおくれれたため、それらの関連した支出(消耗品等)を次年度に持ち越すこととしたため。
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