2022 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between nitrogen and carbon stable isotope effects and their sustainable food chains in marine ecosystems
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18K19862
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
相田 真希 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), グループリーダー (90463091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 励一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (40390710)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 同位体効果 / アミノ酸組成 / 窒素・炭素安定同位体比 / 同位体濃縮 / 代謝理論モデル / マイワシ / カタクチイワシ / 給餌実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生物の体内で生じている様々な同位体効果における「ゆらぎ」の発生メカニズムと、タンパク質やアミノ酸の分解・合成などの生理プロセスを理解することを目的に、マイワシとカタクチイワシを用いた3か月に渡ったトレーサー実験と各組織のδ15N、δ13Cの分析を前年度までに実施した。本年度は特に摂取栄養がどのように体組織に蓄積され、卵巣へどれだけ配分されるかに焦点を当て、得られた同位体比の再考察を行い、(1)δ15Nの大きいリサイクルされたアミノ酸の寄与によって卵巣のタンパク質のδ15Nが増加する、(2)肝臓での脱アミノ反応に伴い同位体比の高くなったアミノ酸が卵黄タンパクに多く用いられるため、さらにδ15Nが増大した、という2つのプロセスでの濃縮効果のはたらきによるものと推察した。一方、カタクチイワシについて、得られた同位体結果から解析を行い、実験開始後に給餌した餌の同位体比よりも低かったことから、餌に対する体組織内の同位体比分布を安定させるためにはマイワシよりも更に長い実験期間が必要であると結論した。 特にマイワシで観察されたδ15N濃縮の実験結果を理論的に説明するために、採餌と体成長、生殖成長のプロセスに伴う、餌、筋肉、生殖腺、肝臓、アミノ酸プールの間の窒素循環と同位体効果に関する数理モデルを作成した。このモデルの分析から、餌から供給される炭素窒素比、体成長/生殖成長/運動時の要求の炭素窒素比の変化が、肝臓における脱アミノ反応強度の変化を介して卵巣のδ15Nの値に反映されること、その際に筋肉のδ15N値は大きく変動しないことが定性的に示された。本課題は今年度で終了するが、実験の値を入れて、観察結果の定量的な説明を行うべくモデル分析を精緻化を引き続き進めてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)