2018 Fiscal Year Research-status Report
塩素原子で表面修飾した炭素質物質を用いる安価な水銀蒸気除去システムの開発
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18K19865
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪内 直人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90333898)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 環境技術 / 環境対応 / 有害化学物質 / 表面・界面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の鉄鋼業から排出される水銀の量は、我が国の総水銀排出量の約3割を占め、これは主にコークス炉と焼結機で用いる石炭や鉄鉱石の加熱に基因し、その量は今後の製鉄原燃料の品質低下により益々増大すると予想されている。そこで本研究では、高温プロセス由来の排ガス中に含まれる水銀の除去剤の開発および最適除去原理の確立を最大の目的に掲げ、塩素で表面修飾した炭素質物質を用いる安価な水銀蒸気除去システムの開発に取り組む。 平成30年度は、石炭やセミコークス中に含まれる微量の水銀の定量法と加熱過程におけるガス状水銀のオンライン分析法を確立し、次いで石炭の乾留および鉄鉱石の焼結過程における水銀の行方を主に調べた結果、1)石炭中の水銀の脱離は炭種に依らず400℃以下の低温で起こり、大部分が気相に移行すること、2)鉄鉱石中の水銀含有量と焼結時の水銀の脱離挙動は鉄鉱石の種類に強く依存し、400℃以下の低温で放出する形態と400℃以上で揮発する形態の2種に大別されることが見出された。 また、水銀蒸気除去剤の開発では、3)KまたはCaをドープした炭素質物質とHClの反応の程度は炭素活性サイト数の増加で増大し、XPS測定では炭素単独に比べ有機塩素種に帰属されるClスペクトルの強度が大きくなること、4)泥炭に尿素と安価な天然ソーダ灰を重量比で1:1~3:2で混合し800~900℃に加熱すると、表面積と細孔容積の大きな活性炭を製造できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、高温プロセスにおける水銀の行方の解明に取り組み、石炭の乾留や鉄鉱石の焼結で放出される微量の水銀をオンラインで精度よく分析できる独自の手法を確立するとともに、水銀放出プロファイルをモデル化合物の結果に基づきピーク分離解析し、固相中水銀のミクロ構造を形態別に定量化する手法を構築した。加えて、泥炭から高表面積・高細孔容積の活性炭を製造し、その表面上に塩素原子を効率よくドープすることに成功し、これは水銀蒸気除去剤として利用できると期待できる。このように、本研究は順調に進展しており、平成30年度に掲げた目標を充分に達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度の成果を更に発展させ、炭素ベース水銀吸着剤の性能評価に取り組む。 加熱実験には、既設の固定床ならびに流動床反応器を使用する。焼結機ガスやコークス炉ガス中の水銀の化学形態は、金属水銀、酸化水銀ならびに塩化水銀に大別されるので、反応器内に充填した吸着剤上に、水銀発生装置を用いて5~100 ppb の金属水銀/He、酸化水銀/Heおよび塩化水銀/Heを流通し、出口ガスを可搬式煙道ガス水銀連続測定計でオンライン分析する。実験では温度・空間速度・水銀濃度をパラメータとして変化させる。また、反応後の吸着剤のキャラクタリゼーションを行い、水銀と塩素の相互作用の状態を明らかにする。また、実際的観点から実排ガスを模擬した雰囲気下での研究にも取り組む。 提案する水銀蒸気除去システムを確立するためには、反応後の水銀の回収法と吸着剤の再生技術の構築が重要である。塩素ドープ炭素質物質では、水銀はC-Cl-Hgで除去されるので、ユニサーモシェーカーを用いる洗浄法による水銀回収と吸着剤再生の原理を確立する。具体的には洗浄処理前後における吸着剤のキャラクタリゼーションを行い、CとClのミクロ構造変化を解析する一方、TPDにより活性サイト数の状態を調べ、さらに水銀吸着能の定量評価を行う。本吸着剤上のClは有機形態であるため水洗ロスは無視できると考えられるが、状態の変化が生じた場合には再度Clをドープし、そのHg吸着能を調べ、水銀の回収法と吸着剤の再生法の基盤を構築する。 以上を総合して、塩素ドープ炭素質物質を用いる安価な水銀蒸気除去システムを開発する。
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Causes of Carryover |
本成果を発表するために参加した 257th American Chemical Society National Meeting (USA、Orlando) の開催期間が 2019.3.31~2019.4.4 であったため、次年度使用額(B-A)は 2019.4.1~2019.4.4 の旅費として使用した。
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Research Products
(14 results)