2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Flexible Transparent Solar Cell with Indoor Environment Improvement Function Considering Element Strategy
Project/Area Number |
18K19872
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
田中 久仁彦 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30334692)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 透明太陽電池 / 透明p型半導体 / 銅ハライド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は未利用エネルギーを活用し,室内環境を改善する環境に調和したCuI_(1-x)Br_x(=CuIBr)光吸収層でZnOナノロッドの隙間を埋める透明太陽電池を作製することを目標としている.これまでn型半導体の微細構造としてTiO2微粒子を用いていた.しかし,微粒子同士の接触面がキャリアの移動を妨げるため整流特性は確認できたものの発電には至らなかった.そこで,本研究ではn型半導体同士の接合部がなくなるZnOナノロッドを採用した.ZnOナノロッドはFTOをコーティングした石英基板上にZnOシード層をゾルゲル法で堆積させ,さらにその上に水熱合成法により作製した.微細構造の隙間にCuIBrを堆積するには溶液塗布法による堆積が必要となる.これまでTiO2微粒子構造の空隙への堆積には成功していたが同じ塗布溶液を用いるとZnOナノロッドが基板からはげることが分かった.これまで溶媒にアセトニトリル,添加剤に硝酸を用いていたが,溶媒を2メトキシエタノールとモノエタノールアミンに変更した結果,ZnOナノロッド空隙にCuIBr(x=0.5)を堆積させることに成功した.CuIBr/ZnOナノロッド構造は可視域で70%以上の透過率を示し,また,励起子吸収を示したため高品質なCuIBrが堆積されたことが分かった.また,CuIBrからの光励起発光スペクトルを観測したところ励起子発光を示し高品質なCuIBrが製膜されていること,CuI, CuBr原料粉末の発光と比較するとドナーアクセプタ対発光が減少しており,溶液塗布により薄膜化した方が品質が向上していることが分かった.このCuIBr/ZnOナノロッドの電圧電流特性を観測したところ整流特性を示し,透明pn接合を実現できたことが分かった.加えて,疑似太陽光照射下で,発電はしなかったものの整流特性が変化したことから紫外光に反応していることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は①ZnOナノロッドの空隙にCuIBrを堆積させる,②整流特性を実現,発電させる,③高効率化を図る,を目標としている.前述の①は達成することができた.②のうち整流特性実現は達成し,発電はしていないものの光に反応する透明pn接合素子の作製には成功している.光照射により整流特性が変化するということは,光照射によりキャリアが生成していることを示しており,光照射により発電できる可能性があることを示唆している.このように本研究期間中に設定した目標の半分を実現することができたためおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では光照射により電圧電流特性が変化するものの発電には至っていない.この理由の一つとしてZnOナノロッドの空隙が狭いため,紫外線を吸収しキャリアを生成させるCuIBr層が薄いことが挙げられる.そこで,ZnOナノロッドのアスペクト比を変化させたCuIBr/ZnOナノロッド構造を作製し発電を目指す.そこで初めにZnOナノロッドを作製する際に添加するポリエチレンイミンの分子量,濃度を変えることによりナノロッドの長さ,太さの制御を試みる.続いてCuIBr堆積を行い,アスペクト比とCuIBr/ZnOナノロッド構造の電圧電流特性の関係を調査し発電を目指す.その後はZnOナノロッド表面にZn_(1-x)Mg_xOをコーティングすることでバンドアライメントを取り,発電効率の向上を図ってゆく. また,CuIBr/ZnOナノロッド構造を構築してしまうとCuIBrのみの特性分析が難しくなるものの,光励起によりCuIBrが発光を示すことが分かったため,発光観測を用いることで素子を破壊することなくCuIBrの品質を評価できる可能性があることが分かった.特に発光からは発電に大きな影響を与える欠陥準位等の情報を得ることができるため,今後はCuIBr薄膜及びCuIBr/ZnOナノロッド構造中のCuIBrの発光を観測することでCuIBrを評価する方法を検討し,発電の高効率化の指針を得る.
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