2018 Fiscal Year Research-status Report
水及び生物体内のトレーサービリティを活用した生物生産環境解析手法の開発
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18K19878
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山田 佳裕 香川大学, 農学部, 教授 (30297460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 浩二 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (10152258)
井上 幹生 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10294787)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | アンチモン / 水源 / Sr安定同位体比 / ヨシノボリ / 地下水 / 河川水 |
Outline of Annual Research Achievements |
西条平野の加茂川下流の水源は、加茂川本流、黒瀬ダム、地下水、市の川と多岐にわたり、水質は各々の流域の特徴を反映して、大きく異なっている。このようなことから、西条平野は、平野部を流れる用水の起源や動態の解析のための手法を検討するのに適したフィードといえる。今年度は、物質レベルでの手法を用いた流況解析、生物動態の解析に資する基礎的な情報の収集を目的とし、加茂川下流域における水と水生生物を対象にした化学組成の分析を行った。 河川水で、特徴的な分布を示した物質の1つがSbである。加茂川上流の濃度は低いが、市の川合流後、平野への灌漑用水取水地点では高くなった。市の川の流域には日本最大級のアンチモンを産出する鉱山があり、それを反映して市の川のSb濃度は113μg/Lと高い。西条平野の水源は加茂川から直接導水された河川水、加茂川から涵養された浅層地下水、西条市の背後地である石鎚山系が供給源と考えられる深層地下水がある。これらのSb濃度をみると、河川水は4.2μg/L、浅層地下水は11.6 ± 0.8μg/L、深層地下水が0.4 ± 0.2μg/Lであった。 水中の物質濃度は大きな時間変動を伴うが、水生生物は物質情報を積算している。今回は固着性が高いと思われる底生魚類のヨシノボリについてSr安定同位体比を測定した。各地点の平均値を見ると市の川が最も高く、加茂川上流が最も低くなった。加茂川下流はそれらの間の値となった。河川水の安定同位体比は測定出来ていないが、市の川と加茂川の水及び下流での混合による水中のSr安定同位体比の値の違いを反映していると解釈できる。耳石と尾びれを測定したところ、耳石が若干高い値を示すことがわかった。これは、それぞれの組織へのSrの同化プロセスの違い、河川水中の経時変化、河川間の移動を反映していると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通り、水試料、生物試料の採取は順調に進んでいる。化学分析も当初の計画通り行えている。特に支障となる懸案は見当たらないが、調査対象が多岐にわたるので十分な計画をたてて、研究を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、昨年度と同様に、採水を生物試料の採取を行う。水生生物だけてなく、流域の水を利用している農作物も対象に含める。西条平野の任意の地点における水源の寄与率の算出を行う方法を確立することを目指す。また、食性に応じて、多様な河川生物を採取し、その化学組成を分析する。
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Causes of Carryover |
化学分析に必要な予算が余ったが、来年度の分析の予算として執行する。
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Research Products
(2 results)