2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K19883
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 浸透圧 / 吸水 / 微粒子 / 沈降濃縮層 / 電気二重層 |
Outline of Annual Research Achievements |
スラリーの沈降濃縮層によって生じる浸透圧、及び沈降濃縮層による吸水現象を系統的に調査した。今年度は広くどのようなスラリーであれば沈降濃縮層形成時に浸透圧が発生し、吸水ができるのかを主に検討した。まず粒子の帯電について検討した結果、水中で負に帯電したアルミナ粒子の場合も、正に帯電したチタニア粒子の場合も吸水現象が確認でき、ゼータ電位の正負には関係なく吸水できることがわかった。 またアルミナ粒子について、スラリーのpHを調整してアルミナ表面を帯電させた場合も、高分子電解質を吸着させてアルミナ表面を帯電させた場合も、いずれも吸水が確認された。したがって粒子表面の帯電のさせ方には限定されず、微粒子沈降濃縮層の浸透圧及び吸水現象が発現することがわかった。 粒子径について検討した結果、アルミナではおよそ2マイクロメートルの粒子径の粒子を用いた時に浸透圧及び吸水現象の発現が確認されなかったため、マイクロメートルオーダーの粒子径で本現象が起こり得る上限値があるものと考えられる。一方で粒子径を小さくすればするほど、同一粒子体積濃度であれば、吸水流束が増大することがわかったが、粒子系が数十ナノメートルまで小さくなると、吸水によって発生する上昇流によって、沈降濃縮層が膨張してしまい、いわゆる通常の溶液の浸透圧による吸水と同一の現象になってしまったため、沈降濃縮層を保持しつつ吸水を継続できる粒子径の下限値がこのあたりのサイズであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本現象が起こる基本原理を解明し、本現象が起こり得るスラリー条件を概ね特定できた。この成果をもとに特許出願ができた。当初計画よりも十分に研究が進んだ結果であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は吸水能力に及ぼすスラリー諸条件の影響、及び、給水装置の構成・サイズの影響を明らかにし、現状よりも吸水流束及び吸水持続時間を増大できるように取り組む。スラリー調製パラメータとして粒子組成、粒子径、粒子密度、粒子濃度、スラリーpH、高分子電解質種類・吸着量、堆積層厚さ、堆積層充填率を変化させて、浸透圧測定及び吸水流束の測定を実施する。得られた結果から、吸水能力に影響を及ぼす因子を解明するとともに、最適なスラリー条件を決定する。 さらに、装置条件として、装置のサイズ、アスペクト比などを変化させて、吸水現象に及ぼす影響を明らかにし、装置としての最適条件を決定していく。
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Research Products
(2 results)