2019 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of dielectric detectors for noninvasive sensing of skin diseases
Project/Area Number |
18K19890
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中川 公一 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00244393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 智子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20436033)
澤村 大輔 弘前大学, 医学研究科, 教授 (60196334)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | 皮膚疾患 / 生体計測 / 生体情報 / 電子スピン共鳴 / イメージング / 皮膚科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常の試料を検出器に挿入する方法では、測定対象が限定される。取り分け、バイオメディカル試料の測定は限られる。その例として、悪性黒色腫(MM)は皮膚に発生する皮膚ガンで、悪性度が非常に高いガンと言われている。発生当初は薄黒い斑点のようなもので、母斑と識別しづらいとされる。従って、早期にMMを識別し、処置することが最も重要である。そこで、今年度(2019年度)は新たに試作した誘電体検出器で黒色を呈するMM、基底細胞がん(basal cell carcinoma, BCC)、脂漏性角化症 (seborrheic keratosis, SK)などを調べてみた。 ESR/EPRイメージング装置は、市販のX-バンド(9 GHz) EPR装置をイメージング計測可能な装置に改良した。データは、特注のソフトウェアパッケージを用いデータ取り込みと画像処理を行った。EPRスペクトルを数値的に二回積分して、対応する吸収スペクトルとした。再構成の前に、各投影は、測定されたゼロ勾配スペクトルを用いてデコンボリューションすることで、得られる画像解像度を改善した。測定用試料は、大学の倫理委員会の承認を得て、共同研究者から提供された。 得られたMMスペクトルは、大きな1本線で両端に信号が重なったものであった。このスペクトル解析からMMにはエウメラニンのラジカルとフェオメラニンラジカルがあることが分かった。また、シミュレーション解析からフェオメラニンの窒素核との分裂があることが分かった。一方、通常の測定も併用しコントロールとして母斑を測定したところ、このラジカルは線幅やg-値などからエウメラニンのラジカルと判断された。コントロールや他のBCCやSKの試料からは同様なスペクトルが得られ、フェオメラニンラジカルが観測されないことから、フェオメラニンラジカルはMMに特有なラジカルであることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚計測と画像関連の研究テーマでの主な理由は、以下の通りである。 ・研究計画を達成する模擬試料やバイオメディカル試料の画像化と解析を行うことができた。 ・メラノーマのスペクトル解析から、エウメラニンのラジカルとフェオメラニンのラジカルがあることが新たに分かった。 ・2019年度に得られた新たな結果は、皮膚科学関連の国際的なジャーナルに受理されている。 以上のことがらから、順調な進展と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ESR(電子スピン共鳴)による皮膚の応用計測と誘電体検出器を用いた試料の画像化でおおよその目標は達成する予定であるが、さらに、いろいろな試料のイメージング測定を行い実験と解析精度の向上を目指す。具体的な研究方針としては、 (1) イメージング(画像)の測定精度の向上に取り組む。 (2) データの画像化の技術と画像の解像度上げるよう試みる。 (3) 例数を増やし、これまでのデータの統計処理を行い、結果の精度を高める。 従って、これまでの結果を踏まえ、より多くの試料を測定し画像化を推し進める。さらに、ESRイメージングの応用分野を広めるよう様々な試料の検討を行う。
|
Research Products
(23 results)