2018 Fiscal Year Research-status Report
新規コンビネーションプロダクトを用いた骨再生治療の実現
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18K19891
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌倉 慎治 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80224640)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 移植・再生医療 / 生体材料 / 複合材料・物性 / 歯学 / 骨再生 / リン酸カルシウム / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) オクタカルシウムフォスフェート(OCP)を人工合成し顆粒状に整粒し、ブタ皮膚由来アテロコラーゲン濃縮液と混練・凍結乾燥・成型し、OCP ・コラーゲン複合体(OCP/Col)スポンジを作製した。その後、作製したOCP/Colに骨粗鬆症の治療に用いられている副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部分であるテリパラチド(TPTD)溶液(1.0μg、0.1μg)を滴下・凍結乾燥しOCP/Col/TPTD凍結乾燥体を作製した。なお対照試料は市販のβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を用いて、OCP/Col/TPTD凍結乾燥体と同様にTPTD溶液(1.0μg、0.1μg)を滴下・凍結乾燥し、β-TCP/Col/TPTD凍結乾燥体 (1.0μg or 0.1μg)を作製した。 (2) ELISA法を用いてOCP/Col/TPTD凍結乾燥体、β-TCP/Col/TPTD凍結乾燥体からのTPTD徐放様式を1, 3, 7, 14, 28日後に解析し、それらが比較的長期間OCP/Colに保持されることを確認した。 (3) 雄性 Wistar系ラットの頭蓋冠骨欠損モデル(自然治癒の望めない9mmφの欠損)にOCP/Col/TPTD凍結乾燥体、β-TCP/Col/TPTD凍結乾燥体、OCP/Col、β-TCP/Colを埋入し、実験動物用X線CTを用いて経時的に試料埋入部位を観察し、同部の新生骨の骨密度の解析を行った。術後12週で標本を摘出し、10% EDTAにて脱灰後、パラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行った。染色切片上の関心領域における骨形成量について組織定量学的解析を行い、OCP/Col/TPTD凍結乾燥体の骨再生能はβ-TCP/Col/TPTD凍結乾燥体、OCP/Col、β-TCP/Colに比較して有意に増強されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に加え、弾性率算出、結晶構造変化、気孔径、気孔率測定、表面性状観察などの材料学的解析を進め、学会発表を行った。 また、免疫組織化学的解析による骨再生メカニズムについては、ラットの頭蓋冠骨欠損モデルに埋入したOCP/Colあるいはβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)・コラーゲン複合体(β-TCP/Col)から得られた摘出試料を用いて、骨形成系細胞の分化動態・分布状況や血管新生の状況をオステオカルシン、オステオポンチン、I型コラーゲン等の骨特異タンパク質やVEGF等に対する抗体を用いて行い、その成果の一部について学会発表を行った。 さらに、イヌ下顎骨離断モデルへ適用したOCP/Col/TPTDのX線学的解析についても着手し、その成果の一部について学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はラットの頭蓋冠骨欠損モデルを用いてOCP/Col/TPTDとβ-TCP/Col/TPTDの免疫組織化学的解析を進めるともに、前年度にイヌ下顎骨離断モデルへ適用したOCP/Col/TPTD等の摘出標本から非脱灰研磨標本を作成し、それらの組織定量学的解析を進め、それらの骨再生材料としてのOCP/Col/TPTD実用化への橋渡しを目指したい。
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