2019 Fiscal Year Research-status Report
DANTEパルスを利用した高速CEST-MRI撮像法の開発
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18K19914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 宏彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40506466)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | CEST-MRI / DANTEパルス / 高速MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではMRIを用いた分子イメージング法の一つとして注目されているCEST法において撮像を高速化する新しい高速CEST-MRI撮像法の開発を目的とする。従来のCEST-MRI法では多数の画像から周波数スペクトルを求めるため計測に長時間を要するが、本研究ではCEST法における飽和パルスとして周波数領域で周期性を持つDANTE法と傾斜磁場を導入することにより一回の画像収集で周波数スペクトルを求めCEST-MRI法の高速化を実現する。 研究開発は1) DANTEパルスの最適化、2) アミノ酸水溶液を対象とした提案手法の実現可能性の検討、3) in vivo計測のための課題探索とその対処法の検討、という3つの研究項目に分けて実施している。初年度に提案手法の原理検証を終え、研究の2年目にあたる2019年度は研究項目1), 2)を進めたが、特に計測対象のプロトンの交換速度や濃度に応じたDANTEパルスの最適化が必要であるという初年度の研究により明らかとなった課題への対応を行った。 DANTEパルスを用いた際のCEST効果による信号変化がより鋭く、かつ、大きくなるよう、DANTEパルスを構成する個々のパルスの持続時間や照射間隔、照射強度に関してBloch方程式に基づくシミュレーションによる網羅的なパラメタ探索を行うとともに、シミュレーション結果を確認するための限定的な条件下のアミノ酸水溶液による実験的検討も進めた。このような取り組みによりDANTEパルスを構成する個々のパルスの持続時間や照射間隔、照射強度がCEST効果の大きさに影響するのみならず、僅かながらCEST効果の周波数位置が変化するartifactを生じさせる場合があることが判明し、引き続き検討を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、具体的な研究内容として、1) DANTEパルスの最適化、2) アミノ酸水溶液を対象とした提案手法の実現可能性の検討、3) in vivo計測のための課題探索とその対処法の検討、という3つの研究項目に分けて研究を進める計画を立案している。研究の初年度には予定通り提案手法の原理検証を終え、2年目にあたる2019年度は、当初の計画の通り、アミノ酸水溶液を対象とした計測とシミュレーションによるDANTEパルスの最適化を並行して進めた。 研究実績の概要で説明したとおり、計測対象となるプロトンの交換速度や濃度、Danteパルスの持続時間や照射間隔、照射強度などのパラメタに関する網羅的なシミュレーションで、パラメタの組み合わせによってはCEST効果を示す周波数位置が変化するというartifactを生じることが判明した。このartifactの発生メカニズムについて、周波数分解能および時間分解能を高めた詳細なシミュレーションを行ったところ、本研究を開始するまでに、一般的なCEST法に用いられる連続波によるCEST信号のシミュレーションで検討を加えていた水プロトン周波数の近傍に現れる小さなartifact信号と同様のメカニズムで説明できることが判明し、発生する条件が限定できるため、パラメタの選択によって容易に回避できる見通しとなった。 連続波を用いた場合とDANTEパルスを用いた場合では、artifactの形状が異なるため、原因解明に3ヶ月程度の時間を費やしたが、周波数分解能および時間分解能を高めた詳細なシミュレーションによるCEST信号とDANTEパルスの関係に関する高度な理解は、その後の最適化の加速に繋がった。最終的に年度末には概ね計画通りの進捗状況となっており、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は研究の最終年度にあたるが、当初の計画通り研究項目3)に挙げた「in vivo計測のための課題探索とその対処法の検討」を中心に研究を進める予定である。最終的にはマウスを対象にDANTEパルスを利用したCEST-MRIの撮像を行う予定であるが、まず、シミュレーションに用いたDATEパルスのパラメタのうち、比較的大きなCEST信号が得られることや周波数領域における歪みに関与するMR装置への負荷などを考慮していくつかの代表的なパラメタを選択し、それらを用いてマウスを対象としたCEST-MRI撮像の予備実験を行う。得られたCEST-MRI画像に対して歪みや強度不整に関する評価を行い、DANTEパルスを構成する個々のパルスの持続時間や照射間隔、照射強度と歪みや強度不整との関係を調査するとともに、研究項目1)のBlock方程式に基づくシミュレーションにもフィードバックして改良を図る予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の影響で年度末に参加を予定していた学会が延期となり、当該年度の予定額の全額を使用することができなかった。次年度には、学会出張、実験用消耗品、MRI装置の使用料金、などを予定しており、旅費およびその他の費用として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)