2018 Fiscal Year Research-status Report
Body Environment-simulated Active-dish using Stretchable Electronics
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18K19920
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関谷 毅 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80372407)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | フレキシブルエレクトロニクス / ストレッチャブルシステム / バイオエレクトロニクス / 生体適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、関谷らが世界に先駆けて開発に成功した伸縮性エレクトロニクス技術を用いて、動きのある生体内環境(動的応力、柔軟性、体温、体圧)を「試験皿(シャーレ)」内に精細に作り出すことを目標としている。より具体的には、この動的な“疑似体内環境”で、細胞培養しながら、各種動的細胞*注【血管内皮、筋組織、骨】の生体活動電位の計測、顕微分光手法を同時に実施可能なストレッチャブルシステムを実現する。動的応力を印加しながら細胞培養することで、細胞の本来の強度を実現しつつ、その細胞の活動電位計測や電気・光刺激できるシステムを構築することを目標として取り組んでいる。
初年度である平成30年度には、1.伸縮可能な基材に生体適合性を付与するための生体適合性分子膜の成膜プロセスの開発、2.伸縮性基材へのフレキシブル薄膜LED、活動電位増幅アンプの搭載と繰り返し伸縮試験の検証、3.伸縮性システム全体への透明性の付与、に取り組んできた。その結果、90%を超える高い透明性を確保しながら、100%の伸縮性システムを実現することに成功した。生体適合性試験においてもISO10993に適合する極めて高い生体適合性を有し、数か月におよぶ細胞毒性試験、生体内埋植試験においても良好な結果を得た。2019年度にはこのシステムを用いて、細胞培養を行いながらの顕微分光時の性能検証と、さらなるシステム最適化へ取り組んでいく。
上記に示す平成30年度の一連の成果は、生体分子材料・バイオエレクトロニクス分野において権威ある欧文学術論文誌Advanced Healthcare Materials(2019)に掲載され、大きな反響を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究提案における主要な課題であった「透明性」、「長期生体適合性」を初年度中に実現することに成功した。引き続きこの二つの特徴を堅持しつつ、エレクトロニクスシステムとしての性能、信頼性の向上と長期使用時の性能安定性確保に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
重要課題であった透明性と長期間に及ぶ生体適合性を実現できることを初年度までに示すことができたので、2年目は予定通り、顕微分光に資するシステムであるかについて評価を進める。特に可視光領域においては高い透明性を得ることができたが、ニーズの多い短波長領域および長波長領域へと波長域を広げていく必要がある。このためには、新たな材料探索も必要でありこれに取り組む。また、光刺激用LEDにおいては極力低消費電力なものを採用する。これにより細胞活動電位の計測時の外乱ノイズを減らす。細胞活動電位の計測においては、1マイクロボルトまでの低ノイズフレキシブル電位増幅アンプ回路の試作を進めており、2019年度にこのアンプを当該システムに搭載する。これにより従来より一桁以上の信号・ノイズ比を実現できる見通しであり、これを実証する。
最終的には本伸縮システム上に細胞を培養し、分化する過程において光・電気・応力刺激を加えながら、細胞活動電位を計測する取り組みへと進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)