2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19921
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
越山 顕一朗 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80467513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊井 仁志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (50513016)
和田 成生 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70240546)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 肺バイオメカニクス / 数理モデリング / 最適化 / 有限要素法 / 肺胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,実験的手法では解明が難しい小児肺細葉の形態学的特徴の変化およびそこで生じる様々な力学現象を,「計算幾何学と最適化を用いた数理形状モデル」・「マルチスケール計算力学解析手法」を土台とした理論・解析によって明らかにするものである.さらに構築する研究プラットホームから,小児肺疾患の診断支援・治療法開発支援への展開を目指す学問領域“小児肺細葉バイオメカニクス”を創成するものである.本年度は,小児肺細葉の発達に応じて,肺胞のサイズ,肺細葉全体積に対する組織体積の比率である組織率を変えた数理形状モデルを構築した.さらに2次元の肺細葉形状モデルを用いて,呼吸状態が変化した場合の,肺細葉構造不均質性のダクト構造への影響を調べた.このため,従来の肺細葉数理モデルを均質な格子状の肺胞配置からのずれとして不均質性の度合いをパラメトリックに変化できるようにアルゴリズムを改良した.これより,不均質性度合いが大きな肺細葉構造において,呼吸状態が悪化した場合,通常状態の場合のガス交換に最適なダクト構造が,不適切になる可能性が示唆された.また,発達に応じた肺胞の形状変化が力学場へ与える影響を調査するため,3/4sphere肺胞モデルを基準として,3/4楕円体モデル,低肺胞高モデルを用いて有限要素解析を行った.これより,形状の異方性に応じて力学場の異方度も大きく変化し,肺胞上皮細胞などが検知する力学場が発達に応じて変化している可能性が示唆された.また複数の肺胞を含む肺微細構造モデルを用いて,肺細葉全体での力学解析を行い,組織率が肺細葉力学場を決める重要な因子であることを指摘し,小児肺細葉メカニクスへの応用に関して発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数理モデリング解析コードの高速化および非線形有限要素法のフリーソースを利用することで研究開発効率がよくなっているため,おおむね当初の計画通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
数理モデリング解析コードの効率化をさらに進めると共に,小児内科医とのミーティングを重ねることで診断支援や治療法開発へと繋がるようにポイントを押さえてモデルの構築,解析を進める.さらに,本年度の研究実績に基づき,次年度は,生理学的・病的な呼吸状態を検証しつつ,3次元肺細葉数理形状モデルを用いた理論解析を進めると共に,小児肺細葉の周産期において特徴的である,肺胞の発達を表現しうる肺細葉数理モデルを開発を進める.
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Causes of Carryover |
研究進展に伴う計算負荷の増加により,当初購入予定の解析用PCの仕様の再検討のため,およびコロナ騒動によりメーカーからの製品供給が不明瞭であったため,次年度使用額が生じた.年度明けに仕様が固まり状況が落ちつき次第,解析用PCの購入にあてる計画である.
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Research Products
(6 results)