2018 Fiscal Year Research-status Report
A novel gene therapy method for the lung regeneration
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18K19923
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60346616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 仁実 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80641068)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 前駆細胞 / 肺 / 分化 / 移植 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな方法で作製したマウス肺前駆細胞の有効性を検証するため、本前駆細胞の分化能をin vitroで分化させることで検証するとともに、マウス肺に移植してin vivoでの分化能を検証する。さらにヒト細胞を用いた応用も進める。 本年度は、作製したマウス肺前駆細胞の分化能をin vitroで検証するため、3週間培養し増殖させた細胞をマトリゲルに包埋し、肺胞上皮細胞分化培地で3週間培養し、本細胞の分化能を検証した。複数の肺胞上皮細胞特異的分化マーカーの上昇が確認され、肺胞上皮I型細胞への分化能が示唆されたが、マウス胎児由来の肺前駆細胞と比較すると、分化能がやや低いことが示唆された。 また、SCIDマウスをエラスターゼで処理した3週間後に、GFPマウスの線維芽細胞から作製した肺前駆細胞をSCIDマウス肺に移植し、3週間後に肺組織を取り出してGFP抗体や種々の肺組織細胞特異的抗体を用いた免疫蛍光染色により確認したが、ほとんどGFP陽性細胞が検出されず、移植方法や細胞調製方法の改良が必要であることが判明した。今後肺前駆細胞の培養条件の検討も含めてin vivo移植実験の条件を最適化する予定である。 これらの研究結果から、現在のマウス肺前駆細胞の作製方法はあまり効率の良い方法でない可能性が考えられることから、新たな因子の検索が必要と考えられる。そこでこのためのツールとして、肺前駆細胞特異的GFPレポーターマウスを作製し、良好な肺前駆細胞ができた際にGFPの蛍光で識別可能となるマウスの作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分化実験や移植実験に必要な前駆細胞が理想的な状態で調製できるように、細胞培養条件や細胞回収条件を改善する必要があり、当初の計画よりも時間がかかっている。また、より良好な前駆細胞を作製するために必要な因子を探索することも有効である可能性が高いため、必要とされる条件を最適化するためのパラメーターが当初予想していたよりも多いことがわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで肺胞上皮細胞への分化は試したが、気道上皮細胞への分化は確認していないため、この分化能の検証を進める。また、作製した前駆細胞を肺胞上皮細胞へ分化させる際の分化能が低い件については、発生学的には気道上皮細胞の方が先に分化することが知られていることから、気道上皮細胞への分化能が十分高いかどうかを確認することがまず重要と思われる。また、in vivoでの分化実験については、肺への移植のみでなく、より移植が容易な腎被膜下への移植も検討する。肺前駆細胞を作製するための新たな追加因子に関しては、GFPレポーターマウスの利用が必要であるが、現在まだラインが確立できておらず、キメラ胚の再注入などを行う必要がある。
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Causes of Carryover |
当初、もっと容易に移植実験や分化実験が進展すると思われたが、実験のための手技の熟練に時間がかかったこと等により、実験の回数が当初の予定よりかなり少なくなってしまったため、次年度使用が生じた。次年度にこの遅れを取り戻すため、実験回数を増やす予定であり、そのため細胞培養試薬や動物の購入に充てる。
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