2018 Fiscal Year Research-status Report
バイオソフトマテリアルの動的局所変形を捉える放射光位相差ダイナミックCTの確立
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18K19926
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 健志 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (30249560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 恭子 近畿大学, 生物理工学部, 助教 (30638193)
長谷 栄治 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (50805512)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ダイナミック位相CT / モアレ縞 / 単色放射光 / 関節軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、空間的に不均質な生体軟組織の局所的な粘弾特性を評価可能な“放射光位相差ダイナミックCT”を確立することである。本年度は、タルボ干渉計を用いた放射光位相差CTシステムを構築し、ブタ膝関節軟骨を試料として以下の計測を行った。 1.静的イメージング フリンジスキャン時の露光を十分に取り(200msec)、軟骨中のコラーゲン分布が抽出できることを検証した(空間解像度:4μm)。CT横断面像とCT撮像後にHE染色した切片標本画像をレジストレーションして比較した結果、CT像では密度分布としてイメージングされるコラーゲン分布と染色されたコラーゲンのネットワーク構造が良く一致していることが確認できた。関節軟骨内部の密度分布は二峰性を示し、各峰はコラーゲンおよびコラーゲンに囲まれた細胞領域の密度に相当すると考えられた。 2.動的イメージング 周期2秒の繰り返し圧縮条件下で軟骨試料の撮像を行った。時間分解能(50 msec)を確保するためにフリンジスキャンの露光を短縮し、これによるSN比の低下を抑えるため、空間分解能は低下(8μm)させ光量を維持した。画像は静的条件下に比べやや不鮮明であったが、コラーゲンのネットワークは確認された。また、静的圧縮時には表層部に変化が見られたのに対し、動的圧縮時には中、深層部の変化が顕著であった。このことより、上層~深層では透水性が異なることが窺われた。 以上の結果より、放射光位相差ダイナミックCTに基づく粘弾特性評価が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2か年計画であり、当初の予定通り、放射光位相差ダイナミックCTと関節軟骨粘弾性試験の融合手法はほぼ完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光位相差ダイナミックCTの設定条件を調え、時間分解能、空間分解能の向上を目指す。さらに、変形前後画像から局所変位を導出するための非剛体レジストレーション手法を確立し、数値シミュレーションを統合して、生体軟組織・粘弾性挙動解析のフレームワークの作成に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた放射光利用料が、本予算以外で充当できたことによる。次年度使用額は、放射光追加実験に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)