2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of computational methods for transcription factor regulation and direct cell conversion by small compounds
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18K19930
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山西 芳裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (60437267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳史 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30415195)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ダイレクトリプログラミング / 低分子化合物 / 転写因子 / 細胞直接変換 / インシリコ |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS細胞のような未分化細胞を介さずに、すでに分化した細胞を別の種類の細胞に直接変換する「ダイレクトリプログラミング」が、再生医療のための新しい革新的技術として注目されている。本研究では、転写因子の遺伝子導入ではなく、転写因子を低分子化合物で制御するダイレクトリプログラミングを提案する。転写因子を制御する低分子化合物を同定し、細胞運命転換を低分子化合物で行うダイレクトリプログラミングを支援するためのインシリコ手法を開発するのが目的である。 平成30年度は、まず、細胞分化誘導に関与する転写因子や低分子化合物のデータを整備した。転写因子や低分子化合物のオミックスデータや化学構造を世界中の関連データベースから収集して情報解析可能な形に整備した。過去に転換の成功が報告されている既知の細胞転換パターンについても、文献から35種類の細胞転換をデータとして整備した。次に、転写因子を制御する低分子化合物を予測する手法を開発した。化合物に関するデータを表す特徴ベクトルを入力とし、低分子化合物が転写因子を活性化するかまたは不活性化するかどうか機械学習で予測する。提案手法をヒトゲノムにコードされている約千個の転写因子に対して適用し、転写因子を活性化または阻害する低分子化合物を大規模推定するためのモデルのプロトタイプを実装した。現在、クロスバリデーション実験を行い、シミュレーションでの予測精度を検証した。 細胞変換に対する予測結果を実験的に検証し、妥当性を評価するための実験プラットフォームの構築を開始した。予測結果が出たら直ちに実験的検証に移れるように、準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、予定通り、細胞分化誘導に関与する転写因子や低分子化合物のデータを整備することができた。化合物、転写因子、細胞に関するデータを、インターネットや文献、データベースに分散して存在するが、それらを適時収集して整備することができた。過去に成功が報告されている既知の細胞転換パターンについても、文献からテキストマイニングによって35種類の細胞転換をデータとして情報解析可能な形に整備することができた。 予定通り、転写因子を制御する低分子化合物を予測する手法のプロトタイプを開発することができた。代表者はこれまでに化合物・タンパク質間相互作用を予測する研究の経験があるが、それを発展させ、転写因子の制御に特化した手法を実装し、その性能を検証中である。 本研究で提案する手法を開発するのに必要なデータは初年度でほぼ揃えることができ、提案手法のプロトタイプの開発やその数値的検証まで進めることができた。以上より、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年に引き続き、細胞分化誘導に関与する転写因子や低分子化合物のデータを整備し、データの更新も継続的に行なっていく。転写因子を制御する低分子化合物を予測する機械学習の提案手法を、転写因子や低分子化合物のオミックスデータや化学構造に適用し、予測モデルの構築を行う。化合物を表現する様々なオミックスデータや様々な記述子の利用を検討し、その性能を検証していく。シミュレーションでの予測精度を検証しているが、全てのシミュレーション結果が出揃い次第、論文投稿や学会発表を積極的に行い情報発信する。インシリコ手法による予測結果が出たら直ちに実験的検証を開始する。予測した化合物による転写因子の制御や細胞変換に対する結果を実験的に検証し、その妥当性を評価する。
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Causes of Carryover |
代表者が初年度に他大学に異動になり、研究費の移管手続きなどのため、研究費の利用開始日が遅れた。本研究プロジェクトのための計算機、サーバ、データベースなどのシステム構築を考えていたが、業者の都合で納期が遅れることが判明したため、年度内に購入することができなくなった。また参加を予定していた国内外の会議やシンポジウムに、日程が合わず参加できなかったため次年度使用額が生じた。 初年度からの研究活動が実り順調に研究成果が出てきており、本年度は成果を適切なタイミングで発表していくため、国際学会や国内学会への参加費用、論文出版費用に適時使用していく予定である。また計算リソース強化、データベース作成、ストレージの購入に、適時使用していく予定である。
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