2018 Fiscal Year Research-status Report
In vitro reconstruction of functional bile canaliculus-intrahepatic bile duct structure
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18K19932
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
堺 裕輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (10608904)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 肝細胞 / 胆管 / 肝毛細胆管 / リプログラミング / 再生医療 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、細胞シート工学と共培養技術を融合させてヒト初代肝細胞/線維芽細胞複合シートを独自開発し、皮下に血管誘導ヒト肝組織を作製する基盤技術を確立した。In vitroとin vivoの双方で多岐にわたる肝特異機能の向上や微小構造の再構築を明らかにしたが、肝毛細胆管に蓄積する胆汁の排泄機構は構築されていない。これらの背景から、肝細胞と胆管上皮細胞を高次元共培養し、胆汁排泄機構を立体再構築する着想に至った。本研究では、独自の肝細胞組織体培養とリプログラミングによる胆管作製を組み合わせ、肝毛細胆管-肝内胆管構造・機能をin vitroで再構築することを目的とする。 7週令のオスのWistarラットから二段階コラゲナーゼ灌流法で初代肝細胞を調製し、コラーゲンコートディッシュに播種した。分子化合物(ROCK阻害剤、TGF-β阻害剤、GSK3阻害剤)を添加した培地で培養し、CLiP(肝前駆細胞)にリプログラミングした。CLiPをマウス胎児由来線維芽細胞上に播種し、マトリゲルを含む培地等で13日間培養して胆管上皮細胞へ分化誘導し、管腔構造を作製した。単離したラット初代肝細胞を培養胆管に播種し、CLF(肝細胞に取り込まれ毛細胆管に排泄される胆汁酸様蛍光試薬)取り込み評価を行った。 培養胆管のみではCLFは取り込みされず、いずれも蛍光検出されなかった。対照的に、ラット初代肝細胞を複合した培養胆管では、肝細胞を介してCLFが取り込まれ、胆管に蛍光試薬が蓄積した。さらに、胆汁うっ滞モデルを作製するため、ハンギングドロップ法を利用して初代肝細胞を500 cells/dropで培養し、球状肝細胞組織体を作製した。CLFを反応させると組織内部に蓄積しており、胆汁うっ滞モデルとして利用可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、(1)肝細胞組織体培養による胆汁うっ滞モデルの作製、及び(2)肝前駆細胞からの胆管の作製の2つを実施する予定であった。(1)に関しては球状肝細胞組織体の作製手法をマイクロウェルチップからハンギングドロップに変更したが、予定していた2つの検討はほぼ実施した。加えて、2019年度に実施予定の(3)肝毛細胆管-肝内胆管構造・機能のin vitro再構築に関して、単離初代肝細胞を利用して肝毛細胆管と培養胆管の機能的接合をCLFにより確認した。本研究のコンセプトの実現可能性が高いことを既に示した。
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Strategy for Future Research Activity |
CLiPより誘導した培養胆管に球状肝細胞組織体を播種し、接着させる。肝毛細胆管(MRP2)と胆管(CK19)が構造的に接合しているかを評価する。CLF取り込み評価により、肝毛細胆管に排泄された蛍光試薬が胆管へリアルタイムに移動することを共焦点レーザー走査型顕微鏡により解析する。同様に、モデル薬物を利用して肝代謝と排泄を評価する。 現在、ハンギングロドップで球状肝細胞組織体を作製しているが、円柱状のマイクロウェルを有するチップ基板も同様に球状肝細胞組織体形成に用いる。本コンセプトが実証可能であることを明らかにした後、ラット肝細胞をヒト初代肝細胞に置き換えて同様に実施する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み、これまでの検討では多くの条件での検討を必要としなかった。また、機能的な評価を最優先に実施したため、培養基材開発、免疫染色、遺伝子解析等のコストのかかる検討は未実施である。 2019年度は、培養胆管に球状肝細胞組織体を播種して接着させることによって、より組織化された肝毛細胆管と培養胆管の接合を実証する。免疫染色や遺伝子解析等を予定通り実施する。学会参加旅費や論文掲載料に一部使用する。
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