2019 Fiscal Year Research-status Report
In vitro reconstruction of functional bile canaliculus-intrahepatic bile duct structure
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18K19932
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堺 裕輔 九州大学, 工学研究院, 助教 (10608904)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 肝細胞 / 胆管 / 肝毛細胆管 / リプログラミング / 再生医療 / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、肝臓を再構築する研究に取り組んできたが、肝毛細胆管に蓄積する胆汁の排泄機構は未だ構築されていない。本研究では、肝毛細胆管-肝内胆管構造・機能をin vitroで再構築することを目的とする。 2018年度は、ラットCLiP(初代成熟肝細胞を低分子化合物でリプログラミングした肝前駆細胞)由来胆管とラット肝細胞を複合培養すると、肝細胞を介してCLF(肝細胞に取り込まれ毛細胆管に排泄される胆汁酸様蛍光試薬)が取り込まれ、胆管に蓄積することを明らかにした。一方、その接合効率は低かった。 そこで2019年度は、機能的な胆管の高密度作製に取り組んだ。CLiP作製条件(単位細胞数あたりの低分子化合物の供給量)が胆管分化に及ぼす影響を評価するため、ラット肝細胞を0.1~5.0×10^4 cells/cm^2で培養してCLiPを作製した。いずれの条件でも肝成熟マーカーのAlbは培養7日目までに劇的に減少し、低値を維持した。対照的に、肝幹・前駆細胞マーカーのCk19は低密度において高値を示した。培養日数が経過するに伴い肝前駆細胞マーカーのAfpはより上昇していることから、脱分化が進行し続けていることが示唆された。続いて、0.25、1.0、5.0×10^4 cells/cm^2で作製したラットCLiP(rCLiP-CN-0.25、rCLiP-CN-1.0、rCLiP-CN-5.0)をMEF(マウス胎児由来線維芽細胞)上に播種して胆管細胞へ分化誘導したところ、rCLiP-CN-5.0で胆管の誘導効率が向上した。しかしながら、胆管マーカーであるAqpやCftrは同とレベルであり、成熟度に相違は見られなかった。これらの結果から、リプログラミングを肝幹細胞に留めることによって効率的な胆管作製ができたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、CLiPより誘導した培養胆管に球状肝細胞組織体を接着共培養させ、肝毛細胆管(MRP2)と胆管(CK19)が構造的に接合していることをCLF取り込み評価によりリアルタイムに解析する予定であった。しかしながら、培養胆管密度が低いために、播種密度が制限される球状肝細胞組織体との接合評価は困難を極めた。そこでまず、機能的な胆管の高密度作製に取り組むこととした。その結果、CLiP作製時の肝細胞密度を高くすることによって新たな課題を打開し、球状肝細胞組織体との接合評価の基盤を確立した。 加えて、2019年度は所属大学の異動により、研究基盤の整備に時間を要したことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
CLiPより誘導した機能的な高密度培養胆管に球状肝細胞組織体を播種し、接着させる。肝毛細胆管(MRP2)と胆管(CK19)が構造的に接合しているかを評価する。CLF取り込み評価により、肝毛細胆管に排泄された蛍光試薬が胆管へリアルタイムに移動することを共焦点レーザー走査型顕微鏡により解析する。同様に、モデル薬物を利用して肝代謝と排泄を評価する。 現在、ハンギングロドップで球状肝細胞組織体を作製しているが、円柱状のマイクロウェルを有するチップ基板も同様に球状肝細胞組織体形成に用いる。本コンセプトが実証可能であることを明らかにした後、ラット肝細胞をヒト初代肝細胞に置き換えて同様に実施する。
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Causes of Carryover |
所属大学の異動により、研究基盤の整備に時間を要し、研究の進捗が遅れたことが要因である。2020年度は、2019年度に実施できなかった免疫染色、遺伝子解析等のコストのかかる検討を実施予定である。学会参加旅費や論文掲載料に一部使用する。
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