2020 Fiscal Year Annual Research Report
A novel approach to myocardial regeneration based on hypoxia-dependent, multi-hierarchical intrauterine environment.
Project/Area Number |
18K19943
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80341080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
花島 章 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70572981)
塚田 孝祐 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00351883)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 心筋細胞 / 分裂・再生 / 酸素環境 / 代謝栄養環境 / アミノ酸 / 3-メチルヒスチジン / 胎盤 / 有袋類 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の心筋細胞は胎生期にのみ分裂再生能を有し、出生後は分裂を停止する。我々は最近、心筋分裂には胎生期の低酸素環境が必須であり、出生時肺呼吸開始による酸素増加が分裂を停めることを突き止めた。本研究では、低酸素の胎内環境として代謝/栄養環境(アミノ酸、脂肪酸)に着目し、成体心筋への適用による心筋再生を目指すと共に、胎内環境維持に必須の胎盤の進化学的意義について有袋類オポッサムを用いて検討した。 1. 代謝/栄養環境 これまでの解析からアクチン等の特定の筋蛋白にのみ存在する3-メチルヒスチジン[3MH]という特殊なアミノ酸が心筋分裂に関与することが判った。3MH抗体による解析では、分裂中のアクチン構造の一時的解体により3MHが細胞外へ遊離する可能性が示唆された。これを検証する為、培養細胞への分裂刺激、また、アクチン脱重合処理による上清3MHの増加を検討したが、明確な増加は認めれなかった。これは、今回使用したHEK細胞が心筋細胞と異なりアクチン/3MH量が少ない可能性が考えられた。今後はマウス単離心筋細胞や、培養系でも増殖が盛んなゼブラフィッシュ単離心筋細胞を用いて再試行し、3MHの作用機序を明らかにする。 2. 有袋類オポッサム 有袋類は成熟胎盤を欠くこと以外は我々有胎盤類に最も近く、胎盤獲得の進化学的意義を考察するのに最適である。有胎盤類では胎生期に25mmHgであった動脈血酸素分圧が出生後に100mmHgまで急増し、速やかに心筋分裂が停止する。一方、有袋類では出生後暫くは肺呼吸ではなく皮膚呼吸が主体であり、酸素動態や心筋分裂停止時期が異なる可能性がある。これを検証する為、二つの生体酸素計測系を立ち上げた[ポルフィリン系、ニードル型酸素センサ系]。今後は出生前後の酸素動態解析と心筋分裂再生解析を行い、胎盤の有無による酸素-心筋再生制御機構の違いを検討し、胎盤獲得の意義を明らかにする。
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