2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒスタミンに応答するインテリジェント人工細胞の開発
Project/Area Number |
18K19944
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
横林 洋平 沖縄科学技術大学院大学, 核酸化学・工学ユニット, 准教授 (70769752)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 人工細胞 / リボスイッチ / 合成生物学 / RNA工学 / バイオセンサー / アプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的・課題は:(1)SELEX法により新たに選択されたヒスタミンアプタマーを用いて、無細胞翻訳系において、ヒスタミンに応答するRNA遺伝子スイッチ(リボスイッチ)を設計する。(2)同リボスイッチをリポソームに内包し、ヒスタミンに応答する人工細胞を作成する。(3)培養細胞により放出されるヒスタミンに応答する人工細胞を作成する。
昨年度は(1)を完了し、本年度は大阪大学の松浦友亮准教授らと共に、ヒスタミン応答性リボスイッチを無細胞翻訳系(PUREfrex)を内包したリポソーム内(=人工細胞)で機能させることに成功した。まず、リボスイッチにより蛍光タンパク質(mCherry)の発現を制御し、その機能を確認した。次にリボスイッチによりαへモリシン(nmサイズのポアを作る膜タンパク質)発現を制御し、ヒスタミンに応答して人工細胞内の蛍光低分子を放出することを示した。さらにリボスイッチによりフォスフォリパーゼCの発現を制御し、ヒスタミンにより人工細胞の自己破壊を誘導できることを示した。これらの結果により当初の目的(2)を達成した。
また、ヒスタミンは魚類や乳製品の腐敗により生じ、食中毒の原因物質の一つとして知られ、その定量は食品産業において重要である。今回新規ヒスタミンアプタマーを基盤として、生魚中に含まれるヒスタミンの定量が可能になることを示した。RNAアプタマーは環境中に存在するリボヌクレアーゼにより分解されるため、バイオセンサーとしての実用性は低いが、ヒスタミンが光学不活性であることに着目し、リボヌクレアーゼ耐性を持つL-RNA(天然型RNAの鏡像体)からなるアプタマーを合成することにより、実用に耐えうる簡易ヒスタミンセンサーを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である、リボスイッチを内包した人工細胞を作成した。また、当初の計画にはなかった、ヒスタミンアプタマーのバイオセンサーとしての応用も示した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画であった、「(3)培養細胞により放出されるヒスタミンに応答する人工細胞を作成する」は、いくつかの技術的問題点があり、計画の変更が必要となった。まず、これまでに得られたリボスイッチの感度は、細胞から放出されるヒスタミンを検知するには低い。また、人工細胞をその機能を保ったまま、培養細胞と同じ環境内で観測するためには、多くの条件最適化が必要であることが明らかになった。
そこで今後はヒスタミンリボスイッチの感度の向上に焦点を絞る。設計方法および評価方法を改善し、現在よりも10倍以上高感度なリボスイッチの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部変更が生じたため、研究期間を延長した。 残りの研究期間において、リボスイッチ感度向上のために必要な実験経費として使用する。
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