2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a three dimensional scaffold with micropatterned structure for vascularized large bone regeneration
Project/Area Number |
18K19945
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川添 直輝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (90314848)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 骨再生 / 血管新生 / マイクロパターン / 足場材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨再生における血管新生の重要性に着目し、血管網の新生を促進するマイクロパターン構造を有する骨再生足場材料の開発を目的とする。これまでに、血管新生因子を導入した足場材料がいくつか報告されているが、血管新生因子は空間的にランダムに導入されたため、組織再生に対する血管新生の効果は十分とはいえなかった。これに対して、本研究のマイクロパターン化足場材料は、骨組織を再生するための多孔質層、血管形成を制御するためのマイクロ溝パターン層を積層したものである。2018年度は、マイクロパターン化足場材料の作製とそのキャラクタリゼーション、および本足場材料を用いたin vitro細胞培養を行った。 まず、骨再生のための多孔質層を作製するため、氷微粒子、コラーゲン水溶液、デキサメタゾン含有ナノ粒子を混合した。次に、多孔質層の上面に冷却したコラーゲン水溶液を積層した。他方、微量液体分注装置を用いて撥水性基板表面に水滴をパターン状に滴下し、凍結することによりライン幅やライン間隔の異なる氷のパターンを作製した。この氷のパターン化基板で上記のコラーゲン水溶液の液面を覆い、-80℃で8時間凍結した後、凍結乾燥、架橋反応を行った。得られた材料の微細構造をSEMで観察したところ、溝の幅や間隔が異なるマイクロパターン構造が形成されていることを確認した。次に、上記マイクロパターン化足場材料の多孔質層に骨随由来間葉系幹細胞を、マイクロ溝パターン層に血管内皮細胞を播種し、生体外で3日間培養した。蛍光顕微鏡による観察の結果、骨再生層では間葉系幹細胞は空孔壁面に接着し,血管パターン形成層では血管内皮細胞がマイクロ溝の底面に集合することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、マイクロパターン化足場材料の作製とそのキャラクタリゼーション、および本足場材料を用いたin vitro細胞培養を行った。研究開始前にいくつか問題点を想定したが、これらをおおむね解決できたことから、上記のように進捗状況を自己評価した。たとえば、多孔質層を作製するため、氷微粒子、コラーゲン水溶液、デキサメタゾン含有ナノ粒子を混合する必要がある。当初、これらを均一に混合することが困難であることが予想されたが、コラーゲン溶液の組成や混合条件を最適化することによって、均一に混合することができた。また、微量液体分注装置を用いて氷のパターンを作製する際、分注装置の吐出圧力や基板を最適化することにより、設計したライン幅の氷パターンを作製することができた。これらの最適化によって、溝の幅や間隔が異なるマイクロパターン構造が設計通りに形成された。さらに、上記マイクロパターン化足場材料の骨再生層では、間葉系幹細胞は空孔の壁面に接着し、血管パターン形成層では血管内皮細胞が溝の底面に集合することを明らかにした。以上の理由により、研究はおおむね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、マイクロパターン化足場材料のin vivo 移植実験を行う予定である。まず、本足場材料に、間葉系幹細胞、および血管内皮細胞を播種し、生体外で培養した後、マウスに移植する。数週間の移植後、サンプルを移植部位から採取し、新生血管や再生された骨組織を観察する。さらに、移植物の切片を組織染色し、組織の形態を観察する。また、骨分化マーカータンパク質に対する抗体を用いた免疫染色により、骨組織の再生を評価する。また、骨分化関連遺伝子の発現レベルをリアルタイム定量PCR法により解析する。他方、血管形成を評価するために、血管新生マーカータンパク質に対する抗体を用いた免疫染色により評価する。これらの結果を総合して、血管パターンと骨再生の効率との関係を検討する。
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Research Products
(6 results)