2018 Fiscal Year Research-status Report
網膜への薬剤送達を目指したバリア突破型温度応答性スマートナノ点眼の開発
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18K19948
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 佑治 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (40625513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 重仁 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 助教 (30780663)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / mRNA / ドラッグデリバリー / 眼科 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、新規分子を含む温度応答性高分子から成るドラッグキャリアを複数用意し、ラットへの点眼等による動物実験や、本技術の分子標的について調査を行なった。 新規分子については、イオンコンプレックスを利用した新しい概念のドラッグキャリアの合成を検討して細胞培養系での遺伝子導入の可否を検討して特許出願した。 動物実験によるドラッグキャリアの評価については、同年度に新規採択された関連研究と合理化できる部分を精査して次年度以降に発展的な追加検証ができる様に計画変更した。研究費申請時に予定していたナノキャリア3種類と、上記新規キャリア、そして対照としてin-vivo-jet PEI にそれぞれルシフェラーゼmRNAを内包させてラットに点眼した。点眼回数の追加やmRNA投与量の増量等を検討したものの眼球内でのルシフェラーゼタンパク質の発現は確認できなかった。そこで、眼内に直接注入する手法に変更した。眼内注射は、点眼と比較して侵襲のリスクがあるものの眼科臨床においても一般的に受け入れられる様になりつつあり、点眼が無効な後眼部の疾患や標的分子に対する投与方法として開発する意義はある。ラットへの眼内注射では、1種類のナノキャリア、新規キャリア、in-vivo-jet PEI 、キャリアを用いないものの4種類を試した。すると、バックグラウンドの3倍以上の発光が検出される個体も認められ、その頻度は、ナノキャリア、in-vivo-jet PEI、新規キャリアの順で高かった。特にナノキャリアに関しては、最大でバックグラウンドの5000倍以上に達した。 また、既存薬にはない機能欠損型の分子標的を選定してノックアウトマウスを手配した。研究代表者、分担研究者共に所属機関の異動に伴う実験環境の再構築を行い、次年度以降の研究がスムーズに遂行できる様に準備した。また、上記ナノキャリアの効果を高めるための新たな工夫としてゲルの活用等も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた温度応答性ミセルの点眼における有効性の評価は一旦完了した。結果は有効ではなかったが、投与方法を眼内注射に変更することでmRNAの輸送が可能になり、また新しい分子の合成にも着手した点が計画より進んでいる。分子指標的に適した機能欠失型の遺伝子を新たに数個選定して欠損マウスを使用できる様に実験環境を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
分担研究者と協力しながら新規分子による点眼の有効性を検証しつつ、眼内注射における有効性をマウスで検証する。眼内注射については、特に発現持続性に焦点を絞って検証する。標的分子は、当初予定していたBDNFや新たに選定した遺伝子のうち少なくとも1つを選択し、準備した欠損マウスを用いて有効性の一端を解明する。予算の約8割を動物実験に必要な動物や薬剤等の消耗品を購入するために使用することを予定している。
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Causes of Carryover |
同年度に採択された関連研究と研究計画の合理化を図り、2年目以降に計画している動物実験を充実させることにしたため。具体的には、点眼だけでなく、眼内注射に関しても動物実験にて有効性を検証をする。予算の約8割を動物実験に必要な動物や薬剤等の消耗品を購入するために使用することを予定している。
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Research Products
(4 results)