2021 Fiscal Year Research-status Report
グローバリゼーションと治安・健康・環境リスクの相互作用の分析
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18K19955
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
手島 健介 一橋大学, 経済研究所, 教授 (10817737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グローバルサプライチェーン / グローバリゼーション / 貿易と環境 / 汚染逃避地仮説 / メキシコ / メキシコ麻薬紛争 / 都市の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、(a)先進国の環境規制が先進国・開発途上国間の貿易と途上国住民の健康に与える影響、(b)先進国の大型スーパーの開発途上国への進出が進出先住民の食品消費、栄養摂取および肥満に与える影響、(c) 開発途上国企業と先進国企業との貿易取引関係のメカニズム解明、(d)メキシコ麻薬紛争による物品輸送の不確実性増加がメキシコ輸出企業-米国輸入企業間の貿易取引関係に与えた影響、(e)土地の取引費用が都市構造にもたらす影響の分析、の5つのトピックについて分析、執筆を進め、研究報告を行い、共同研究者との議論を進めた。
(a)については論文"North-South Displacement Effects of Environmental Regulation: The Case of Battery Recycling"がAmerican Economic Review: Insights誌に出版が決まった。(b)については、構造推定分析を進めた。(c)については論文"Assortative Matching of Exporters and Importers"がReview of Economics and Statistics誌に出版が決まった。(d)については、データ整備を進め、理論的枠組みについての議論を共同研究者と進展させ、分析的枠組みを準備した。(e)については、論文"From Samurai to Skyscrapers: How Transaction Cost Shapes Tokyo"の改訂を進め、研究報告を多数行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(a)は予定以上の進展を実現することができ、首尾よく最初の学術誌投稿で出版を決めることができた。 上記(b)は買い物行動の構造分析という重要な新分析において多くの課題が生じたため作業量が増えた。ただし、全体として着実に進展している。 上記(c)(d)(e)はもともと1つの「(d) メキシコ麻薬紛争による物品輸送の不確実性増加がメキシコ輸出企業-米国輸入企業間の貿易取引関係に与えた影響」のものであったが、非常に野心的なプロジェクトであったため、予備的なプロジェクト「(c) 開発途上国企業と先進国企業との貿易取引関係のメカニズム解明」に工程を分けてそれをまず進めた。その論文自体も一流誌に出版することができた。さらに、取引費用と都市経済学、という点では類似トピックであるが国が異なるため「(e)土地の取引費用が都市構造にもたらす影響」も分け別論文として進めた。(d)単体では計画通りの進展だが(c)(e)と別の質の高い論文を執筆することになった。この研究についても着実な進展が見られた。
したがって全体としておおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、(a)(c)に関しては研究が一区切りしたので、さらに発展させる可能性を探求する。
(b)は研究協力者との議論を深めて学会での報告を行いつつ論文の改善を行う。 (d)は分析を進め、論文の核となる結果を確定させることをめざす。 (e)は引き続き学会、セミナー報告を積極的に行い、また論文の改善を行ったうえで、年度内中の投稿開始をめざす。
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Causes of Carryover |
分析はおおむね順調に進展したが、コロナのため、(1)海外出張を行って海外にいる共著者と打ち合わせを行うこと、(2)学会出張を行って研究成果の普及を行うこと、(3)メキシコで現地でのみアクセスできるデータの分析を大量に行うこと、などが十分にはできなかった。 2022年度は上記の活動を行う。(1)(2)に関しては、現時点で海外出張は可能である。また、(3)に関しては、関連機関との交渉により、日本からのリモートアクセスによる分析が可能なデータが増えつつあり、リサーチアシスタントの雇用などにより代替することも可能であると考えている。
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Research Products
(15 results)