2021 Fiscal Year Research-status Report
日本のコスモポリタンな60年代運動における第三世界とのつながりとその意義
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18K19957
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高田 圭 法政大学, 国際日本学研究所, 講師 (60837889)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政治社会学 / グローバル歴史社会学 / 社会運動研究 / 60年代研究 / 第三世界論 / パブリクス論 / コスモポリタニズム / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本のグローバルな60年代運動、特に第三世界運動との国際的なつながりや対話が政治文化の変容に与えた影響を歴史社会学的に考察することである。二年目である本年度は、理論、方法論に主眼が置かれ、グローバル歴史社会学、トランスナショナリズム論、コスモポリタニズム論、グローバルヒストリーなどについての理論的、方法論的な考察をおこなった。これらのアプローチには多くの共通項があるものの、国境をこえた社会運動の比較分析をおこなうにあたっては、関係論的な視点を用い、また理論と構造分析を組み込むグローバル歴史社会学の手法が有用であることが確認された。 この間に実施した研究、考察の一部は、国際ジャーナル、大学紀要に掲載された。具体的には、Interface: A Journal for and about Social Movements誌にポスト2011年の社会運動に関する英語書籍Amorphous Dissent: Post-Fukushima Social Movements in Japanをグローバルな60年代運動研究を踏まえて分析した書評論文を投稿した。そしてグローバル化するアカデミアにおいて日本研究を世界の読者に語りかける構えについて1968年運動を例に論じた「コスモポリタンなアカデミック・パブリクスと国際日本学―誰に向けて、どのように日本を語るか―」が『国際日本学』に掲載された。また公開イベントとして「トランスナショナリズムと日本研究」と題する国際シンポジウムを欧州日本学研究所と国際日本研究コンソーシアムと共同で開催し、合計12名の研究発表を通じてトランスナショナリズムの問題、特に日本の事例に応用する際の理論的、方法論的な問題についての理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、Covid-19の影響で当初の研究計画を変更せざるを得ない部分も少なくなく、オンラインを用いて対応可能な範囲について進めてきた。具体的には、一次文献の収集に関しては困難はあったものの、代わりに二次文献の整理、また収集済みのデータの分析等をおこなった。二年目は、初年度実施することができなかった調査、分析の埋め合わせが予定されていたものの、継続するCovid-19の影響で実質的な作業は部分的なものに留まったと言える。こうした点に関しては、全体的に遅れが生じているものの、二次文献の整理、またグローバル歴史社会学、トラスナショナルナリズム論、コスモポリタニズム論に関する理論的、方法論的な深化については進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度・2021年度に困難が生じていた資料収集を進展させ、第三世界運動とのトランスナショナルなつながりの生成過程だけでなく、日本のコスモポリタンな60年代運動が与えた政治的、社会的インパクトについても考察を深めていく。実質的には、必要なデータ収集の埋め合わせをおこない、資料分析を進めていく。また、2022年度期待される海外渡航制限の緩和を含めたパンデミックの沈静化を見越して、国際会議での報告、開催などを通じて海外研究者との連携をより一層深めていく。加えて、収集分析した資料とこの間発展させてきた理論、方法論的な組み合わせながら論考を執筆していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた最大の理由は、昨年同様Covid-19による海外渡航規制によって、計画していた国際学会、海外調査、国外研究者との打ち合わせ等が軒並みキャンセルまたは、オンラインに切り替わったためである。特にパンデミック二年目の本年度は、海外渡航が実質的にほぼ困難な状況にあり、国内の研究打ち合わせもほとんどがオンラインで実施された。次年度は、海外渡航制限の緩和も期待されるため、国際会議への参加と国外での国際ワークショップの開催も予定している。これら国外渡航費、会議運営費に加えて、英語論文執筆のための校閲料、資料収集、ウェブサイト作成などに使用したいと考えている。
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Research Products
(5 results)