2022 Fiscal Year Research-status Report
日本のコスモポリタンな60年代運動における第三世界とのつながりとその意義
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18K19957
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高田 圭 法政大学, 国際日本学研究所, 講師 (60837889)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政治社会学 / グローバル歴史社会学 / 社会運動研究 / 60年代研究 / 第三世界論 / パブリクス論 / コスモポリタニズム / トランスナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のグローバルな60年代運動を考察するものである。厳密に言えば、以下三つの研究を実施する。①日本の60年代運動と第三世界運動との国際的なつながりや対話が政治文化の変容に与えた影響についての歴史社会学的考察。②グローバル歴史社会学、トランスショナリズム論の方法論的な深化。③日本のグローバルな60年代運動の欧米のそれとの比較研究。今年度は、昨年度に考察したトランスナショナリズム論、グローバル歴史社会学の方法論をまとめる作業をおこなった。また、日本と欧米(特に米・独)の60年代運動との比較分析、とりわけ60年代運動がもたらした政治的効果の差異に着目して調査を進めた。こうした研究の一部は、国際会議の開催といくつかの報告、そして大学紀要掲載の論考として公表された。具体的には、Thai Sociology and Anthropology Graduate Students Network's Annual Conventionの基調講演として日本の60年代運動を材料にグローバル歴史社会学の方法論的な可能性について報告した。また、トランスナショナリズムの視座と日本研究への応用可能性については、「日中若手研究者フォーラム」での招待報告並びに『国際日本学』第20号掲載の論考として発表した。加えて、トランスナショナリズム論の実証研究をまとめた国際会議を共催し、広くトランスナショナルな視座から日本を捉えていく可能性を探求した。そして、日本の60年代運動が政治・社会変容に与えた影響について米独との比較の視点から考察した報告論文をジュネーブ大学で開かれた「社会運動の影響」をテーマとした国際会議“Issues and Perspectives in the Study of Social Movement Impacts”にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、Covid-19の影響で当初の研究計画を変更せざるを得ない部分も少なくなく、オンラインを用いて対応可能な範囲について進めてきた。具体的には、一次文献の収集に関しては困難はあったものの、代わりに二次文献の整理、また収集済みのデータの分析等をおこなった。二年目は、初年度実施することができなかった調査、分析の埋め合わせが予定されていたものの、継続するCovid-19の影響で実質的な作業は部分的なものに留まったと言える。三年目の今年度は、収集した文献の整理、精査をかなりの程度進めることができ、また理論、方法論的な課題についても多くの進歩が見られた。それらの成果は国際会議や論文として公表した。ただし、初年度、二年度での遅れを回復しきれたとは言えず、特に、第三世界論に関する資料調査は、国外調査も必要なため当初の予定よりも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度実施したトランスナショナリズムに関する理論、方法論的な整理を踏まえて、実証分析を進めていく。まず、やや遅れが生じている資料収集(国外調査を含む)を進め、それらをまとめ、分析する作業をおこなう。また、トランスナショナリズムに関する国際会議を開き、日本のグローバルな60年代運動の影響に関する考察をおこない、国際会議等で報告する。そして、日本のグローバルな60年代と第三世界(論)とのトランスナショナルなつながりについて考察し、論考の執筆を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、初年度、2年度に計画していた国外調査、国際学会への参加が叶わなかったためである。今年度は、一部オンラインに留まったものの、現地での国際会議の参加、運営が叶い、当初の予定に近づくことができた。来年度も、国際学会への参加や国際会議の運営を予定しており、また米国での資料調査も検討している。追加の資料購入、論文の校閲料などとも併せて、有益なかたちで研究費を使用することができると考える。
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Research Products
(8 results)