2022 Fiscal Year Annual Research Report
Innovation by Strongly Correlated Photonic System
Project/Area Number |
18K19958
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Research Institution | Hitachi,Ltd. (Research&Development Group) |
Principal Investigator |
斎藤 慎一 株式会社日立製作所(研究開発グループ), 基礎研究センタ, 主管研究員・部長 (80308212)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光量子 / スピン / 光渦 / 量子技術 / 角運動量 / 強相関系 / リー代数 / 偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、なぜ偏光がSU(2)で記述できるのかその理由を場の量子論を用いて解析した。その結果、多体の生成演算子を用いたコヒーレント状態にSU(2)対称性を入れたマクロな量子状態を考える事で、ストークスパラメータがスピン期待値である事を証明した。また、軌道角運動量も交換関係を満たし、光渦の中心で振幅がゼロになる事を考慮すると、スピンと軌道の分離が可能である事を証明した。この結果は従来の学説と反するため、十分な実験的検証を行った後に発表する事にした。 そこで、理論的検討結果に基づき、偏光状態を自在に制御可能なポアンカレ回転子を考案し、その動作実証を行った。ポアンカレ回転子を光変調器を用いて動作させることにより、マクロな量子状態に対して1量子ビット動作を実現する事ができた。これにより、波長多重のように複数の偏光状態を用いた多重化が可能になる。一例として、ポアンカレ球上に光のC60を実現し、60ビットを明瞭に区別可能である事を確認した。また、より複雑な制御例として、ポアンカレ球上に地球を描くことにも成功した。 さらに、光はボゾンである事から、その半径方向を強度として制御可能である事に着目し、トポロジカルに自明な球だけでなく、非自明なトポロジー構造が実現可能である事も示した。一例として、トーラスを実験的に実証し、メビウス帯やDirac coneも実現可能である事を理論的に示した。 ポアンカレ回転子は、光渦の制御にも有効であり、軌道角運動量に対するポアンカレ球の制御にも成功した。さらに、スピンと軌道を組み合わせた2量子状態に相当するマクロなコヒーレント光によるシングレットとトリプレット状態を実現した。偏光子を通過させることにより、像で確認可能なベル射影による検証にも成功した。 当初の予想を超えて、光の軌道角運動量とリーダ代数のつながりを理論・実験を含めて実証することができた。
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