2021 Fiscal Year Research-status Report
The research on propagation of the world paper culture and elucidation of "Samarkand Paper".
Project/Area Number |
18KK0003
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Research Institution | Aichi University of the Arts |
Principal Investigator |
柴崎 幸次 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (10315872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 直希 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (00580945)
岩田 明子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (50830741)
本田 光子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (80631126)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | サマルカンド紙 / 紙の伝播 / 芸術表現 / 紙 / ディープラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
サマルカンド紙は8世紀後半、中国からサマルカンドに紙の技術が伝播し出現した紙である。羊皮紙に代わる支持体として、コーランや細密画の発展とともにイスラム世界において進化し、500年の時を経て西洋にも伝播したが、現在技術が断絶し歴史や製法は明らかではない。本研究は、手漉き紙としてサマルカンド紙に焦点をあて、世界の紙の伝播を解明するための調査研究であり、“紙と芸術表現”を中心に国際共同研究を行う。 サマルカンド紙の性質や定義を明確にするため、古いサマルカンド紙の調査をさらに進める必要があり、ウズベキスタンにおいて研究体制の構築及び現地調査なども目的に、セミナー及び研究成果の展示などを計画した。 令和3年度中にタシケント、サマルカンドにて国際セミナー及び国際合同展示を開催するため、日本から3名の派遣を計画、その他本経費外の研究者の参加も予定していたが、コロナウイルスの影響により海外渡航が困難となり延期した。その後もコロナウイルスの影響は続き、遠隔会議等での交流のみの実施となった。 紙の分析調査としては、データアップロードシステムのサーバー増強を行った。6月から2月は、国内で調査可能な紙の解析画像データの入力を行い、データは約3000件となった。9月、成田山書道美術館の協力により、所蔵する松方コレクション「穂高」など、日本の奈良時代から鎌倉時代の写本紙などの調査を実施した。また、日本の紙と中国紙の比較分析や、文字などが書かれた資料の紙の調査方法を研究した。文字や図入りの資料について、書画材料で書かれた部分を除いて観察するプログラムを開発中である。 令和4年9月には、ウズベキスタン大使館やJICAの協力も得て、サマルカンド大学等で研究会を開催する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年3月から現在まで、コロナウイルスの影響により海外渡航が困難となり、予定していたセミナーや展示などの開催が滞っており、メールやリモート会議等での情報交流を中心に実施している。 しかし令和4年時点ににおいても、海外において古い紙のサンプルなどを扱う調査事業は実施が困難である。それでも9月には、ウズベキスタンへ渡航は実現したいと考えている。 よって、令和2年度予定の「サマルカンド紙の解明Ⅱ」及び「中国及び東洋の紙との同時代分析」を目標にしていたが、海外調査全般に関しては実質渡航困難であり、国内で可能な、日本の紙の調査、紙の試作などによる検証を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年から3年に予定していた「サマルカンド紙の解明Ⅱ」、「中国及び東洋の紙との同時代分析」、「トルコ、ロシア及び欧州の紙との同時代分析」など、コロナウイルスの影響や地政学的リスクも高まる中であり、海外渡航が困難な状況においては現地調査は延期するなど慎重な判断をしたい。 ただし、可能な限り現地協力者との調査データの共有やメールやリモートでの会議などを活用し、データアップロードシステムによる紙の解析画像データの入力を少しでも進めたい。 今後は、これらの研究成果を国内外で発表できる方策を、様々な角度から検討したい。1つは、サマルカンド紙と芸術表現の本の出版に取り組みたい。2つは、これらの研究を海外で紹介する展示などの計画を行いたいと考えている。 本研究は、世界の紙の伝播を解明するための調査研究でもあり、この方法論を周知させ、今後も継続的に、国際共同研究としてのネットワークを広げ、海外渡航リスクが解消された後、十分な活動を可能とするための礎をきずき成果が出せるように準備したい。 また、当面、海外調査の実施が不確実であれば、ディープラーニングによる紙の解析の体制を強化し、更なる精度の向上を目指し、紙片観察システムの増強を行い、これまで収集した紙や日本の博物館等の資料分析により成果を出したい。
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Causes of Carryover |
「サマルカンド紙の解明Ⅱ」、「中国及び東洋の紙との同時代分析」、「トルコ、ロシア及び欧州の紙との同時代分析」などが延期になったため。
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Research Products
(2 results)