2021 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering Aspects of 'Publicness' in French Theatre
Project/Area Number |
18KK0005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤井 慎太郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10350365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DE.VOS PATRICK 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (00242032)
奥 香織 明治大学, 文学部, 専任准教授 (30580427)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | フランス演劇 / 公共性 / 演劇史 / 文化政策 / public/private |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も、コロナ禍によって日仏両国間の自由な往来は実質的に不可能なままにとどまり、本研究課題の遂行にあたっても、現地調査や研究者招聘、研究会開催(対面)が不可能となり、深刻な問題が生じている。そのような状況下で、人の往来を伴わないかたちでの研究計画の遂行を余儀なくされた。そのような中でも、前年度から準備を進めてきたフランス演劇史協会発行『演劇史紀要』第292号「公共サービス/私的利益」の刊行が2022年2月に実現した。ここには藤井、奥、ドゥ・ヴォスの3人がフランス語で投稿した論文が掲載されている(ドゥ・ヴォスは関連する歴史的資料の翻訳も投稿し、掲載された)ほか、日本学術振興会特別研究員PDの川野恵子の投稿論文も掲載されている。投稿論文の査読には責任編集者にして海外共同研究者であるエマニュエル・ヴァロン教授に加えて、研究代表者の藤井も参加したほか、刊行に合わせてフランス(パリ)で2回のラウンドテーブルも開催された。 それを除くと、研究代表者・分担者は前年度に引き続き、個人研究に重点を置かざるを得なかった。藤井は、コロナ禍における舞台芸術の危機的状況とフランス政府による支援策に関して、前年度に引き続き精力的に調査を行い、日本文化政策学会『文化政策研究』第14号に論文を投稿し、掲載され、明治大学においてオンラインの講演を行った(企画・司会は奥が務めた)。さらに藤井が日本語に翻訳した戯曲『森 フォレ』が世田谷パブリックシアターで上演された。奥は、丸本隆ほか編『パリ・オペラ座とグランド・オペラ』および『日本18世紀学会年報』に執筆した論文が掲載された。ドゥ・ヴォスがフランス語に翻訳した前川知大『侵略者の散歩』、日本語に翻訳したパスカル・キニャール『ダンスの起源』(共訳)も刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も日仏間の自由な往来の回復は実現せず、出張も招聘もままならないままであった。『演劇史紀要』の刊行が2021年度に実現したことは大きな成果であったが、研究計画の遂行には遅れが生じたままである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長を申請して、2022年度までの延長が認められている。しかし、2022年度に自由な往来が再開されるかどうかも、現時点ではまだ不明である。フランス側ではすでに渡航制限は解除されているので、日本政府による水際対策の緩和のスケジュールにかかっている。水際対策の緩和を待って、現地調査の実施、フランス側研究者の招聘を実現し、本研究計画を最後まで遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、ひとえにコロナ禍によって国境を越えた出張も招聘も実現できなかったためである。2022年度には出張および招聘を是非とも実現させたいが、それは日本政府による水際対策の緩和のスピードにかかっており、私たちはそれを強く望むものの、私たちの努力ではいかんともしがたいところである。
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