2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study on Women's Magazines in East Asia during the 1930s
Project/Area Number |
18KK0007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯田 祐子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 幸代 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00303587) [Withdrawn]
中谷 いずみ 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (10366544)
笹尾 佳代 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (60567551)
小泉 京美 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 講師 (70779206) [Withdrawn]
尹 シセキ 大阪大学, 文学研究科, 助教 (80761410)
光石 亜由美 奈良大学, 文学部, 教授 (90387887)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 女性雑誌 / 1930年代 / 女性表現者 / 女性作家 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの影響で、海外での調査を全く実施することができなかった。2020年7月に予定していた台湾(国立台湾図書館など)での調査、および2021年2月に予定していた韓国(アダン文庫など)での調査はいずれも実施することができなかった。研究会については、オンラインで二回実施した。台湾、中国、韓国からの参加が可能となり、オンラインの利点を生かすことができた。第5回研究会(2020年12月5日)では、中谷いずみが、永渕朋枝『無名作家から見る日本近代文学 島崎藤村と『処女地』の女性達』(和泉書院、2020)について検討を行った。永渕の著作は、無名の女性作家の動向を探っている点、また左翼運動との接続についての考察が含まれている点などで、本研究に重要な示唆を与えるものであった。第6回研究会(2021年3月14日)では、笹尾佳代が「『台湾婦人界』の出版戦略:柿沼文明の編集方針」について報告を行った。『台湾婦人界』の編集方針の変容や、読者戦略について分析を行うとともに、先行する『台湾愛国婦人』や発刊時期の重なる『婦人と家庭』との差異や関係について検討した。ことに教育制度がつくり出す読者層との関係について考察がなされた点は、今後、地域間の比較を行うにあたって有益な示唆を与えるものであった。伝統的文化が生み出してきた女性文人と、近代教育制度によって新たにつくりだされた読者とは、階層の点でも規模の点できわめて大きな差異がある。また台湾の場合には在台日本人と台湾人の差異もきわめて重要であり、『台湾婦人界』の場合は、在台日本人女性が主たる読者となっていることも確認された。2020年度は、本研究における課題のうち、とくに東アジアにおける女性表現者・女性知識人の文化生産の同時性と地域固有性について議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、海外の研究者との共同調査を行うことを計画の中心に置いているため、コロナウィルス流行によって渡航が不可能になったことの影響は大きいと言わざるを得ない。2020年度は、7月に台湾、2021年2月に韓国で調査を行う予定だったが、いずれも実施することは叶わなかった。 また、2020年度はメンバーの交代もあった。中国を担当していた星野幸代、満洲を担当していた小泉京美に代わり、中国および満洲の担当者として尹シセキ(大阪大学)が、韓国の担当者として光石亜由美(奈良大学)が分担者として加わった。担当者の交代はあったが、海外の研究協力者も含んで、地域ごとに日本班、台湾班、中国・満洲班、韓国班の四つの班に分け、今後は、年に四回の研究会を行っていく方針を立てた。海外渡航が可能になるまでは、オンラインでの研究会を実施し、情報と意見の交換を進めることとする。オンラインでの研究会実施には、利点も感じられた。本研究は、日本、台湾、中国、韓国の研究者によって行われているので、オンラインで研究会を実施することで、これまでは難しかった全員の参加が可能となった。2021度は、2022年2月に韓国で調査を行うことを計画しているが、コロナの影響が年度内に今後も継続するようであれば、オンラインで、ゲストトークを行うことも現在計画中である(韓国における復刻雑誌の刊行などについて)。臨機応変に、オンラインで可能になる作業を進めていくこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、地域ごとに日本班、台湾班、中国・満洲班、韓国班の四つの班に分け、四回の研究会を行う。考察の要点としては、これまで通り、(1)東アジアにおける女性表現者・女性知識人の文化生産の同時性と地域固有性、(2)東アジアの各地域・国における〈ジェンダー・セクシュアリティ構造〉と〈公/私構造〉の交差、(3)東アジアの各地域・国における内部/外部の構成とジェンダー化の三点とし、比較検討を続ける。また年表の作成方法についてジャンルを明確にして作成するという方針をたてたので、各班ごとに進めていく。第7回研究会(9月12日)は日本班が担当し、中谷いずみによる『婦人戦線』の報告を行う。第8回研究会(11月7日)は、中国班が担当し、陳晨(上海師範大学)が『玲瓏』について、また尹シセキが『女性満州』について報告を行う。第9回(2022年1月19日)は台湾班が担当し、張文聰が『台湾婦人界』について、報告する。 2022年2月18-20日は、韓国にて、調査および研究会を行う。具体的には、1910年代から1930年代の女性雑誌の出版状況および現在における所蔵状況を確認することを目的とする。第10回研究会は、慶煕大学にて行う。ただし、渡航が不可能だった場合は、2月20に研究会のみオンラインにて行うこととする。また、2022年度は、中国にて、研究会・調査を行うことを予定している(2023年3月、上海師範大学)。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの流行により、海外渡航が不可能になり、海外で実施する予定であった調査がすべて中止になったため。
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Research Products
(4 results)