2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on Cultural Pluralism in Early Modern South Asia: With Special Reference to Translation
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18KK0013
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
太田 信宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40345319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 和良 北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 講師 (00441973)
小倉 智史 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (40768438)
置田 清和 上智大学, 国際教養学部, 助教 (70708627)
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | インド・ペルシア語文学 / アーイーニ・アクバリー / 翻訳 / ペルシア語写本 |
Outline of Annual Research Achievements |
事業初年度にあたる本年度は、2年目以降の本格的な調査のための準備を実施した。具体的には、1) 本研究課題が対象とする近世南アジアの地方政権における翻訳活動の特徴を明確にするため、中央であるムガル帝国でのインド的学知の受容について、これまでに明らかになっている知見を確認した。2) インド地方都市、パキスタン、バングラデシュでの文献調査に備えて、インドの首都であるデリーでの調査を実施した。 1) については、3月9、10日両日に、ムガル帝国アクバル時代の最重要ペルシア語文献である『アーイーニ・アクバリー』を主題とした国際会議を開催した。本科研のメンバーを含め、国内外から14人の研究者が口頭発表を行った。『アーイーニ・アクバリー』は、アクバル時代のムガル宮廷で共有されていたインド的学知を総合して編纂された文献とも言える作品であり、本作品の内容について様々な視点から分析がなされ、意見が交換されたことは意義深かった。 2) については、3月下旬に研究代表者の太田、分担者の榊、小倉がデリーを訪れ、Indira Gandhi National Centre for the ArtsとHardayal市営公共図書館で文献調査を行った。前者はインド政府が進めている写本のデジタル化事業のデータ保管機関であり、同事業で収集された写本の画像データや、日本では閲覧が不可能なインドの図書館の写本カタログなどを調査した。また後者はこれまで日本人研究者に存在が知られていなかった図書館で、翻訳文献を含めて380点ほどのペルシア語写本が収蔵されていることが明らかになった。 加えて、次年度以降の本格調査に備えて、国際共同研究のカウンターパートであるペルソ・インディカに参加している、海外の若手研究者複数名と、現地派遣について打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画に含めていた、デリーでの文献調査を予定通り実施することができた。また、『アーイーニ・アクバリー』に関する国際会議を実施したことにより、近世南アジアの地方政権での翻訳活動を分析するにあたって特に注目すべき点などが明らかになった。国外の研究者との今後の研究計画を遂行する上での連携体制が構築できたことも、重要な成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2年目は南インド・デカンの地方政権での翻訳活動を中心に分析を進めていく。年度中に一度の現地調査を実施する。また、年2回程度、国内での研究会を開催する。加えて、ペルソ・インディカに参加している国外の研究者も現地に派遣する。
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Causes of Carryover |
(理由)デリーでの文献調査に参加を予定していた研究分担者が都合により参加できず、また、3月の国際会議参加者のうち、当初見込みよりも少ない人数に旅費を支給することになったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)平成30年度は、研究期間が実質的に半年に満たなかったため、調査日程の調整が困難であった。令和元年度は、次年度使用額を有効に活用し、平成30年度に実施できなかった分を含めて現地調査の内容を拡充して効率的に行う。
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