2020 Fiscal Year Research-status Report
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18KK0018
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
ボルジギン ブレンサイン 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00433235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 大和 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (50632303)
広川 佐保 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90422617)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 満洲 / モンゴル / 戦前 / 戦後 / 満鉄 / 満洲国 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は終戦の混乱のなかで日本、中国、アメリカ、韓国など関係諸国に分散した旧「満洲」、モンゴル、朝鮮など多民族社会に関する社会実態調査資料を収集・分析することにより関連地域における戦前と戦後社会の連続性や変容について考察するものである。 2020年度は、新型コロナウイルスの流行によって研究代表者も研究分担者も海外調査はかなわず、日本国内における資料調査も緊急事態宣言などにより充分実施することができなかった。そうした状況の中で研究代表者は今まで蓄積してきた戦前期の日本語による調査資料を整理することにつとめた。また、日本国内や中国など海外の研究者とのオンラインによる情報交換や学術交流を行った。そして、本研究プロジエクトと直接関連し、以前から監修解説を行ってきた大型資料集『戦前期モンゴル関連実態調査資料集成』の『解説編』を出版する運びとなった。2020年度の研究成果の総括として「『満洲』・モンゴル社会の再編と戦後の中国社会」と題するシンポジウム(2021.3.25、オンライン)を開催した。シンポジウムでは本研究の分担者や研究協力者及び大学院生を含む8名の研究者が研究発表を行った。 研究分担者である広川佐保先生は『近代内モンゴルにおけるモンゴル語出版物の歴史:出版社と知識人を中心に』と題する著書や「新潟から満洲、内モンゴルを旅する-薄益三・守次の辿った道」(『大学的新潟ガイド』昭和堂)などの論文を掲載した。 研究分担者である辻大和先生は、植民地朝鮮で刊行された『朝鮮及満洲』や『大阪毎日新聞』朝鮮版中の、京城帝国大学蒙疆学術探検隊関係の記事を収集した。そして国立民族学博物館民族学研究アーカイブズで前年度に収集した泉靖一資料などと合わせ、京城帝国大学の内モンゴル調査の背景について分析し、『常盤台人間文化論叢』7(1)号に論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の終わりころから始まった新型コロナウイルスの流行により、2020年2月に予定していた国際シンポジウムが中止となり、2019年度の研究の総括は計画通り実現することができなかった。また、その後のパンデミックによって、本研究にとって重要となる海外調査はかなわず、海外の研究者との間に行う予定であった研究交流も少なからず影響を受けた。そして、今までの四度にわたる緊急事態宣言により、日本国内における資料調査や研究活動も影響を受けた。こうしたなかで、オンラインによるシンポジウムの開催や研究交流を試み、一定の成果を上げてきたが、本研究の発展と深化には対面による学術交流や現地調査の実現を期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、引き続き「満洲」・モンゴルに関する戦前期の調査資料の収集分析に中心の行いたい。研究代表者は、今まで監修解説してきた『戦前期モンゴル関連実態調査資料集成』の継続として「満鉄による内モンゴル調査資料」の整理に取り込んでおり、その一部の出版を目指している。また、研究代表者は現在、本研究プロジエクトの内容にかかわる研究テーマを抱ている博士後期課程の院生三名を指導しており、本研究で収集した資料の分析を若手研究者育成に活かしている。 研究分担者の広川佐保先生は引き続き内モンゴル関連の資料収集と分析を行う予定である。研究分担者の辻大和先生は日本に所蔵されている朝鮮総督府の「満洲」・モンゴル関連資料の調査分析に取り組んでいく予定である。 研究成果の取りまとめや研究交流には、パンデミックのなかで培ってきた経験を生かしてオンラインによる活動を深めていきたい。対面による研究活動が可能となった際には、今までかなわなかった内容も含めて積極的に研究活動を展開したい。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスの流行により海外調査はできず、国内における資料調査と研究活動も充分できなかった。2021年度にパンデミックが収束し、対面による研究活動の再開を想定して研究費を当てたい。また、対面による国際シンポジウムの開催が可能となった際には、海外の研究者を招聘して学術交流などを行いたい。
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Research Products
(10 results)