2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructing of the history of handicrafts in Uzbekistan and the regional development through "tradition" of handicrafts
Project/Area Number |
18KK0022
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
菊田 悠 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (30431349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今堀 恵美 東海大学, 文化社会学部, 講師 (50600821)
宗野 ふもと 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (30780522)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 手工芸 / 伝統 / ウズベキスタン / 地域開発 / 職人 / 陶業 / 刺繍業 / 毛織物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、菊田がウズベキスタン国立経済大学のイスラモフ教授および同国芸術アカデミーのカザエワ教授らの協力を得つつ、ソビエト連邦時代から現在に至るウズベキスタンの陶業をはじめとする手工芸の変遷に関する資料を比較照合した。また、ウズベキスタン職人組合の協力によってフェルガナ地域における手工芸の調査を行なった。特筆すべき事柄としては、2019年9月にウズベキスタン共和国コーカンド市にて「第1回国際手工芸フェスティバル」が開催され、それに招待され参加したことが挙げられる。同フェスティバルでは本研究プロジェクトの成果の一つであるウズベキスタン陶業に関する小著をプレゼンテーションし、協力してくれた陶工たちに本の贈呈式を行なうことができた。その様子はウズベキスタン国内の複数のテレビ局で放映され、日ウズの友好関係と手工芸の国際的な価値を国内にアピールする成果があったと思われる。同フェスティバルはウズベキスタンが手工芸を観光業促進の重要な起爆剤と位置付けたことの明確な表れであり、本研究プロジェクトのねらいとも一致するので、本研究が今後も両国の協力によって推進される明るい見通しが得られたと考える。 今堀はこれまでに収集したブハラ近郊の刺繍業に関する資料を分析する作業を主に行なった。 宗野は成果論文の英語校閲や日本国内での打ち合わせ会議の旅費等に本科研費を支出した他、年度末にウズベキスタンへの渡航調査を実行し、ソ連時代以降の製品・生産体制・技法の変遷、伝統とされる要素の変遷、伝統に関わる人々の言説、観光業との関係、2017年以降の手工芸振興策の影響等を調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画以上の進展があったと評価する。その理由は、第一に2019年9月にウズベキスタン共和国コーカンド市で行われた「第1回国際手工芸フェスティバル」に招待され講演したためである。これは「守るべき伝統」の継承ルートの確立とブランド化戦略を日ウズ共同で作成し、芸術アカデミー、職人組合、地域自治体等に提案する、という本研究プロジェクトの目的の第一歩が達成された意味を持つ。すなわち、ウズベキスタン国内における手工芸の重要性が政策上でもしっかり認知されたことの現れであり、講演ではウズベキスタン各地の伝統的な陶業の重要性とブランド化の必要性を伝えることができた。 第二に、本年度、菊田は欧米の研究者が中心となった中央アジアに関する文化人類学的事項集であるCentral Asian Worldへの寄稿を求められた。テーマは中央アジアの陶器と伝統という本プロジェクトの目的に合うものであり、寄稿は「ソ連時代以降の手工芸史の再構築を続け、成果を学会や学術誌に発表する」および「ウズベキスタン手工芸史研究と伝統を巡る研究成果を発表・出版する」の成果の先取りとして評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、令和3年度以降の予定はおおむね変わらないが、令和2年度は新型コロナウイルスの影響で国外調査や対面での国内打ち合わせ会議は困難になるかもしれない。そのため、令和2年度は、これまでの研究成果をまとめ、ウズベキスタンの手工芸に関する法令を訳して本プロジェクトの環境条件を分析する中間報告書を作成することに重きを置く方針である。
|
Causes of Carryover |
研究分担者の1人が今年度は別の助成金を用いて研究を行っており、本研究費用をあまり用いなかったために次年度使用額が生じた。また、年度末に予定していた調査が新型コロナウイルスの影響により中止となったため、その分も次年度使用額が生じた。翌年度はもし調査渡航が不可能であっても、その分中間報告書の作成に重点を置いて、研究費を使用する予定である。
|