2020 Fiscal Year Research-status Report
Natural resource use and management in soil-eroded area under semi-arid climate, central Kenya
Project/Area Number |
18KK0023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大月 義徳 東北大学, 理学研究科, 助教 (00272013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 明咲香 常葉大学, 社会環境学部, 講師 (30802623)
上田 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10241514)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 地形変化 / 土壌浸食(土壌侵食) / 自然環境資源 / 環境負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ケニア中央高地における半乾燥気候下で発現している土壌浸食の実相と浸食速度、そうした土地条件の劣化する地域における住民の農牧畜業による生計維持の現状と時代的な変容、および水や土地、植生を主体とする自然環境資源の利用や管理の実態を明らかにし、広義の沙漠化が進行している地域における環境資源利用の持続性を、分野横断的に分析評価することを目的としている。 当研究課題採択内定の2018年10月以降、(旧リフトバレー州)ライキピア郡の調査対象地において、1) ガリー浸食地でのキネマティックGNSS測量を実施し、年間浸食量などを把握するための地形データを得た(2019年3月,2020年2月)。また、2) 調査対象地を含むエリア一帯(約300 km^2)において過去30年および同15ヶ月の植物生産量変化を、衛星画像によるNDVI値算出により概括的に把握した。さらに3)気象観測地点を2019年9月設置し、2020年2月 に約半年分の観測データを得た。また4)近年の土地荒廃に起因する先駆性植物 (Opuntia spp., Ipomoea spp. )の出現・分布拡大に関する植生史分析試料の採取を実施した。 5)現地における主たる生業である牧畜の生計補填となっている地域内の採砂管理に関する基礎データ取得を進めた。他方、調査地域に隣接するエリアにて6) 斜面変動域の地形変化データの継続取得、7) および気象観測データの回収と観測機器の点検更新などを実施し、本研究課題での調査対象地域における自然環境因子の比較等の議論への準備を整えた。 しかしながら、2020年度はCovid-19の世界的な蔓延により、一切の渡航および現地調査が叶わず、新たな調査データを取得し得なかった。現在、同感染状況鎮静化以降、速やかな調査再開と、上記および新たな諸データの蓄積を図り、本研究課題の目的達成すべく、諸準備を施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述したように、2020年2-3月の現地調査以降、Covid-19が世界的に蔓延し、2020年度は現地渡航および調査が叶わず、新たな調査データが全く取得できていない。加えて、現地気象観測装置の維持管理ができず、2020年3月以降の観測データが消失していると推測されるなど、研究推進への大きな障害が発生した状況が現在も継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Covid-19の急速な鎮静は望める状況ではないものの、鎮静化以降、速やかな調査再開と、上記および新たな諸データの蓄積を図り、本研究課題の目的達成すべく、諸準備を施している。 その際、これまで得られた結果に基づき、引き続き現地調査および各種観測データの取得を行う。現地調査ではガリー浸食地・斜面変動域でのDTMを含む地形測量データ、ケニア気象局データ、および現地気象観測体制の再整備とデータ取得、安定同位体分析や年代測定を含む土壌試料分析、植物珪酸体による植生史分析等から広域的長期的な自然環境変動データ、個別農牧民や協同組織、行政機関等へのインタビューにより、個別世帯の生計維持状況と土地利用に関する経年的推移、牧畜地域での放牧形態と植生資源増減に関わる認知状況、国内全般で活発化している採砂の管理と生計補填状況などを把握する。また、衛星画像解析からも土地利用変化および植物生産量変化等を明らかにし、これらを合わせて土地条件に関する情報、環境負荷の実態および環境資源利用の持続性を分析評価する。これらの知見を、土地荒廃への連動の有無等も含め、現地農牧民、地域行政・研究機関と共有を図りつつ、研究成果としてとりまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)使用計画中で最も比重の大きい調査旅費の使用ができず、また成果発表などの学術大会もオンライン化し成果発表旅費も要しないなど、研究経費も含め、2020年度予算がほぼ執行できなかったことに因る。 (使用計画)日本及び現地におけるCovid-19感染状況が鎮静化した段階で、速やかな調査研究の再開が図れるよう準備する。他方、当初の最終年度である2021年度を越えて当該調査研究の継続を検討する必要がある。
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