2023 Fiscal Year Research-status Report
ネパールヒマラヤにおける活断層の地震危険度推定と持続可能な防災教育開発
Project/Area Number |
18KK0027
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
熊原 康博 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60379857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 次郎 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (10572422)
小山 拓志 大分大学, 教育学部, 准教授 (30553581)
八木 浩司 山形大学, 地域教育文化学部, 名誉教授 (40292403)
佐藤 浩 日本大学, 文理学部, 教授 (60360468)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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Keywords | ヒマラヤ / 活断層 / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,地震防災教育の展示資料に活用するため,①3Dモデルの作成及び,②断層露頭の剥ぎ取り標本の作製,③展示パネルなどのコンテンツの作成を行った。 3Dモデルは,ネパール全域を対象として,ヒマラヤ山脈の最も新しい山地であるシワリク丘陵が表現できるように作成した。3Dモデルは,1辺15cm角のものを東西10,南北3つに分割して作成した。これにより,ネパールヒマラヤの地形の特徴を視覚的に把握することができる教材となる。この作成過程や意図については地理科学学会にて口頭発表した。 2024年1月にネパール南東部ダマク近郊において,ヒマラヤ前縁帯活断層のトレンチ掘削調査を実施した。トレンチはショベルカーで掘削し,壁面にはプレート境界断層の露頭が現れた。断層は,約20度の北傾斜をもつ逆断層構造をなし,河川性堆積物が明瞭に変形していることを確認した。地層のずれから推定される最新活動時における1回の変位量は11mに達する。壁面の写真撮影やスケッチを行い,日本から輸出した剥ぎ取り薬品(トマック)を用いて断層露頭の剥ぎ取りを行った。剥ぎ取りは,約1mグリッドごとに行い,大礫の礫層を除き,剥ぎ取ることができた。できた剥ぎ取り試料は,幅9m×最大高さ4mである。採取した剥ぎ取り標本は梱包してカトマンズに運搬した。 展示パネルについても作成した。具体的には,トレンチ壁面の断層露頭の写真を加工してフォトモザイク,ネパールの活断層の分布,トレンチ掘削調査の目的と意義,今後起こりうる巨大地震などの英語解説パネルを作成した。トレンチ壁面のフォトモザイクは,50%縮小し,幅6m×高さ3mのものを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度はコロナ禍は収束し,ネパールにも制限なしで渡航可能となったものの,それ以前には全く渡航できなかったことから,すべての研究が遅れている。また,円安傾向が続くため,当初の計画よりも調査内容を縮小せざるをえなくなった。具体的には,ネパール各地での活断層調査を行うことが難しくなり,ヒマラヤ前縁帯活断層の剥ぎ取り調査に集中することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
展示会を行うためのコンテンツはほぼ揃ったため,2024年度はネパールでの自然災害に関する展示会を開催することを第一の目標として実施する。展示会は1回のみ行う予定であるが,再利用可能なコンテンツを作成すること,一般市民や中学生以上が理解できる内容とすることを目的として,持続可能な防災教育となるように進めたい。同時に,学会発表及び論文投稿を進め,研究の最終年度にふさわしい取り組みを行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究計画が遅れたため。主にはカトマンズにおいて,自然災害に関する展示会を開催するとともに,その後も使える持続可能なコンテンツを作成するために使用する。
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Research Products
(13 results)