2018 Fiscal Year Research-status Report
格差,富の再分配に対する考え方と社会的価値観の各国の差異に関する実証分析
Project/Area Number |
18KK0044
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浦川 邦夫 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (90452482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 さやか 同志社大学, 経済学部, 助教 (30780754)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
橘木 俊詔 京都女子大学, その他, 客員教授 (70112000)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
|
Keywords | 格差 / 貧困 / 再分配 / 格差感 / 文化 / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、人々の再分配政策に対する考え方がどのような要因と関連しているかについての指針を得るため、国内外の先行研究をサーベイし、本研究で実施するアンケート調査の設計を進めた。また、2019/3/17-18の日程で、研究代表者の浦川、研究分担者の橘木、神林、迫田はParis School of Economics で開催された国際Workshop(Inequalities and Preference for Redistribution)[EHESSとの共催]に参加し、3本の論文報告を行った。報告論文は以下の通りである。 Kambayashi,R., Lechevalier, S. and Jenmana, T. "Revisiting Cross-National Variations in Preference for Redistribution: A Comparison between US, France, and Japan" Sakoda, S. and Tachibanaki, T. "Attitudes towards Inequality and Re-distribution" Urakawa, K. "Does Learning Opportunity at College Affect Preference for Redistribution? The Case of Japan" 同ワークショップには、本科研の海外研究協力者であるLechevalier教授 (EHESS)の他、Clark教授、Alesina教授、Fong教授、Thomas Piketty教授など多くの格差研究の第一人者が参加しており、政府の再分配政策のあり方、格差・貧困研究の動向について幅広く討論する機会を得た。今後、発表論文を修正の上、海外の査読付学術誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、2019年3月において、研究代表者の浦川、研究分担者の橘木、神林、迫田はParis School of Economicsで開催されたInternational Workshop(Inequalities and Preference for Redistribution)に参加し、3本の論文報告を行った。同ワークショップには、本科研の海外研究協力者であるSebastien Lechevalier教授(フランス国立社会科学高等研究院(EHESS))の他、Andrew Clark教授(パリ経済大学校)、Albert Alesina教授(ハーバード大学)、Christina Fong教授(カーネギーメロン大学)、Thomas Piketty教授(Paris School of Economics)など格差研究に関する第一線の研究者達が参加しており、政府の再分配政策のあり方についてディスカッションを行う機会を得た。 また、本年度の当初計画通り、人々の再分配政策に対する考え方、格差の捉え方がどのような要因と関連しているかについての指針を得るため、国内外の先行研究をサーベイし、本研究で実施するアンケート調査の設計を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に設計した経済実験やアンケート調査を実際にとり行い、調査結果の収集・集計・分析作業にとりかかる。また、データを収集した後、国内外の複数の地域については、回答者の居住地域の生活環境についての指標を作成し、アンケート調査から得られた個票データとのマッチングを行う。そして、人々の格差の捉え方や再分配政策に対する評価が、本人の属性や居住地域の社会経済環境とどのように関連しているかについて、計量分析の手法を用いた検証を行う。なお、アンケート調査の設問は、申請者らがこれまでの研究で実施したアンケート調査の調査票ならびに調査対象サンプルを一部活用する。これら一連の作業は、研究グループ全員で行うが、調査会社との交渉は浦川・迫田が主に担当する。 計量分析では、多項ロジットモデルやマルチレベル分析の手法を用いることにより、人々の社会経済的属性、各国固有の制度(税制・社会保障制度、教育制度など)、社会的価値観、生活環境が、様々な福祉資源の配分システム、再分配のあり方、格差の評価にどのような影響をもたらしているかを計量的に抽出する。特に、浦川は税制・社会保障制度、橘木・迫田は家族制度・教育制度(高等教育)、神林は雇用制度・教育制度(保育・初等中等教育)の役割に注目した分析を行う。研究については、随時国内・海外の学会・研究会で報告を行い、論文をまとめる。
|
Causes of Carryover |
研究計画を一部修正し、国際ワークショップへの参加・報告にかかる研究分担者の旅費の一部を2019年度に使用することとした。
|
Research Products
(11 results)