2020 Fiscal Year Research-status Report
In between Global Sex Work and Trafficking: from In-depth Interviews and Network Analysis
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18KK0056
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青山 薫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (70536581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 文子 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80555243)
熊田 陽子 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 講師 (60830346)
大野 聖良 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(RPD) (20725915)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | セックスワーク / 言説分析 / 参与観察 / ネットワークデータ収集 / 人身取引 / 当事者参加 / 移住・移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究レビューについて必要な部分を完了し、並行してネットワークデータ収集と分析について研究を進めた。鍵概念の調査地間での共有、聞き取り項目の設定も必要な部分は完了し、各地の調査対象者の特定を進めた。 その結果、新規性・実現性・当事者参加性が高く各調査地に共通して使えるネットワークデータ収集・分析方法・方法論が見つかった。これは、聞き手と各聞き取り対象者が共同作業によって移住前と後二つのソシオグラムを描き、関係者との襟帯の強さ、重要性、危険性などを表現するものである。ネットワークを可視化する利点の他、多言語多文化対象地・対象者に関する共同研究では、対象者、研究者の双方に言語以外の共通理解を促すという副次的な利点もある。 現地調査については、新型コロナウィルス流行が深刻で、各国の出入国・各機関の活動制限等があったため、予定通りには進まなかった。しかし、オランダについて2019年度の進捗を受けて変更した計画を再度変更し、関係機関間で公的にMoUを締結して、アムステルダム自由大学の協力者が作業をしやすい環境を整備することに着手した。タイについても実務上の困難を克服するために機関間MoUを締結し、かつ新しい研究協力者を迎えたため、バンコック近郊で予定した聞き取りを開始することができた。フィリピンでは新しい協力者を迎え、本研究全体における上記方法・方法論の構築に大きく寄与してもらった。 年度末のネットワーク分析および聞き取りについてのワークショップはZoom開催とし、予定通り、調査結果の共有および具体的な分析作業の端緒をつけることができた。 以上調査研究すべてについて、代表者が別途代表者として科研費基盤研究(B)の助成を得て進めている国際性労働・人身取引研究、および、責任者の一人として参加している神戸大学におけるJSPS研究拠点形成事業と連携し、相互的有機的に知見を交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に発生した、協力研究者と機関の共同研究への参加に関する実務上の困難による遅れについては、上記のとおり積極策を打ってほとんど改善した。新型コロナウィルス渦で関係各国間でも国内でも移動の制限が続き、現地調査はかなり遅れているものの、国内外の移動を最小限にしてもできる研究・議論を進め、上記のとおり新規性に富みかつ実効性の高い方法・方法論を獲得するなど、悲観的な状況に照らせば積極的な成果が上がっていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるタイ調査については、すでに聞き取りを完了した対象者に加え、今後の聞き取り・データ収集対象者に対し新しいネットワークデータ収集方法を利用した調査を行う。フィリピン、オランダにおいては、聞き取り・データ収集対象者が全員特定されなくても現地調査を開始し、並行して20人の目標に届くまで特定・聞き取り等依頼・実施を続けるめどがついている。 かなり遅れている中国出身者についての各地での調査、イギリスおよび日本調査については、まず、移動の制限を押して、日本国内(横浜周辺と大阪周辺)における中国出身者を中心とした調査を進めることも考える。イギリスについては、日本等からの渡航および現地での行動の自由が確保できない以上調査の進捗は望めない。しかし、代表者は、最終年度に向けて制度的に長期渡航する可能性を模索している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス渦で関係各国間でも国内でも移動の制限が続き、国内外出張(すなわち対面の打ち合わせ、事前調査、現地調査)がほとんどできなかったため。 今後も、国内外の移動を最小限にしてもできる研究・議論を進めるが、オランダとタイの調査によって、繰り越した予算は使用し切る可能性がある。場合によっては、移動の制限を押して、日本国内における中国出身者を中心とした調査を進めることも考える。また、代表者は、調査を推進するため、最終年度までの2年間に制度的に長期海外渡航する可能性も模索している。
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Research Products
(14 results)