2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of education programme for early childhood period (Okinawa-Maori Model)with aim to bridge the gaps in health and academic ability
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18KK0066
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
小林 稔 文教大学, 教育学部, 教授 (70336353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉数 健悟 沖縄大学, 人文学部, 准教授 (50612793)
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
増澤 拓也 琉球大学, 教育学部, 准教授 (80643709)
遠藤 洋志 琉球大学, 教育学部, 教授 (90369926)
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Project Period (FY) |
2019-02-07 – 2023-03-31
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Keywords | 自己抑制力 / 幼児 / 非認知 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、介入として前年度開発した特に自己抑制力に焦点化した非認知能力向上プログラムを実施するとともに、沖縄県内の6幼稚園を対象に、その介入効果について検証することを主な目的とした。前年度と同様、まず年度初めに質問紙調査を実施し(ベースラインデータ)、介入後2020年12月に事後調査を実施した。まず、自己抑制力に焦点化した非認知能力向上プログラムに関して、「教室掲示ポスターでの啓発(5種類のポスターを1週間ごとに換え、10週間にわたって実施)」「カルタ遊び」「動画紙芝居」「教員へのセミナー」「保護者への啓発資料」などを活用した。また、ベースラインデータについては、すでに分析が終わっており、自己抑制力とライフスタイルやいくつかの「習慣・しつけ」などの変数との間には一定の関係性があることが明らかになった。例えば、睡眠時間で二つのグループ(多い群と少ない群)に分けて、自己抑制力得点(平均値)を比較しても統計的に有意な差はみられなかったが、就寝時刻に関しては、早く寝る群がそうでない群よりも有意に自己抑制力得点が高かった。他方、世帯の主たる年間収入額によって三層(収入の高い層、中間層、収入の低い層)に区分して、自己抑制力得点を比べた場合、統計的に有意な差は認められなかった。ただし、収入の各層ごとで、「習慣・しつけ」と自己抑制力に関して分析すると、収入の低い層では、「外遊び」を多くさせている家庭の子どもの自己抑制力得点が有意に高かった。これに関して中間層や収入の高い層では、有意な差はみられなかった。対して、収入の高い層では、起床・就寝時刻のしつけが厳しく、ほめる行為が多いと、自己抑制力得点が高かった。さらに、収入が高い層は野菜摂取量が多かったので、他の変数も含めて再度、経済状況で調整して、分析してみると、唯一、就寝時刻だけは、自己抑制力に影響していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、介入が主たる目的であったため、それ自体はおおむね計画通りに進捗していると判断することができる。また、教室掲示用ポスターを作成したり、カルタも業者に依頼して幼児が実際に使用可能なものを完成させており、さらには、動画紙芝居をデジタル化し、you tubeにアップし、家庭において保護者と幼児が視聴可能な状況まで研究環境を整えた。ただし、コロナ禍の影響もあり、ニュージーランドで使用するこれらの英語版が未完成なことと、介入においても、若干、予定通りに進まなかった面は否めない。したがって、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本来なら、今年度が介入研究の本番であったが、コロナ禍を考慮するとともに、欧米の状況をみると、一定程度ワクチンが打ち進むと仮定するなら、教育現場も安定し、ある程度コロナ禍前の状況に近づけると想定される。総じて、来年度の方がより介入がスムーズに進むと判断する。よって、今年度は来年度介入の準備期間として位置づけ、2022年度に介入の本番を実施したい。具体的な準備としては、昨年度策定したプログラムの評価・改善を現場の幼稚園教員らと行う。同時に、教室掲示用ポスターやカルタおよび動画芝居の改善と英語版の作成を行う。また、2020年度の介入効果については、現在分析中なので、これについて学会発表や論文作成を実施する。さらには、コロナ感染症拡大の影響があったため、現時点では、できれば5年の研究期間(2022年度まで)を1年間延長したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大により、学校現場での介入研究が若干停滞したため。介入プログラムのうち業者が作成する物品に使用予定。
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