2018 Fiscal Year Research-status Report
nternational study of responses of atmospheric escape from Mars against extreme solar events
Project/Area Number |
18KK0093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 華奈子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20345854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 直樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (70470060)
原田 裕己 京都大学, 理学研究科, 助教 (90823386)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 火星 / 大気散逸 / コロナ質量放出CME / 共回転相互作用領域CIR / MAVEN |
Outline of Annual Research Achievements |
火星は約40億年前には海をたたえたハビタブルな環境を持ち、その後の進化の過程でそれを失ったと考えられている。惑星表層環境を規定する重要な要素である水や二酸化炭素などの揮発性物質の進化を理解するためには、太陽活動に伴って宇宙への大気の散逸がどのように変動するか、を理解することが必須である。本研究は、太陽風から惑星の電離圏までをシームレスにシミュレーション可能な独自の数値実験モデルを軸に、米国NASAの火星探査機MAVENチームとの密接な国際共同研究を実施することにより、火星からの大気散逸が過去の太陽で頻発したと考えられている極端な太陽変動にどのように応答するか、の解明を目指している。特に、MAVEN Participating Scientistとしての国際連携を更に発展させ、MAVEN計画の科学責任者、副責任者の研究協力を得て各観測機器との共同研究の調整・実施するとともに、国際共同チームにより観測と数値実験の比較データ解析共同研究を推進し、国際共同研究を強化する計画である。 研究計画初年度である平成30年度には、研究協力者の一人であるBrain博士(コロラド大ボルダー校LASP)を3ヶ月間、研究代表者の所属する東京大学に招聘し、これまでに4年程度蓄積されているMAVENの観測データの中から、太陽風の代表的な極端現象であるCMEおよび共回転相互作用領域(CIR)について、イベントサーチを行い候補イベントを選定した。現在は、これらのイベント時のMAVEN探査機による複数観測機器(磁場計測器MAG、太陽風電子・イオン計測器SWEA・SWIA、高エネルギー観測器SEP、イオン質量分析器STATIC等)による観測データの解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の研究協力者であり、MAVENの科学研究の中心人物の一人であるBrain博士を、2019年1~6月までの予定で研究代表者の所属する東京大学に招聘することができ、密接な国際共同研究をスムーズに開始することができた。 また、計画初年度から予定していた研究チームの密接な打合せを実現するため、ネット会議システムの利用環境整備などを行った。研究分担者の一人が育児休暇取得準備のため予定していた出張を減らす必要があり、旅費の一部の使用時期を研究計画後半に変更したが、研究自体は続けられており、研究計画全体としては、概ね順調に研究計画が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度からは、これまでに選んだ候補イベントの中から、モデル改良に適した観測データの揃ったイベントをCME, CIRの各々について抽出する。CME等の太陽極端現象時には、通常とは異なる機器較正が必要な場合も多く、必要なデータ解析を遂行する。その解析結果に基づき、数値シミュレーションの境界条件の設定を行い、CMEおよびCIRイベント時の数値シミュレーションを開始する。さらに、その数値実験結果を、イオン種毎の応答の違いの調査、および、太陽面爆発に伴う中性大気変化の調査という2項目のデータ解析結果と比較してフィードバックをかけながら、数値モデルの改良を行い、極端現象の記述性を向上させる計画である。この2項目の観測データ解析結果と上述の数値実験結果の比較によって、重要な物理機構を抽出し、数値モデルに含まれていないものがあれば、追加で実装することで数値モデルの現象記述能力を向上させる改良を行う。この際、数値実験結果と観測結果の詳細な比較が必要であり、各項目を国際チームで担当することで、効果的に研究を進める予定である。なお、探査機に搭載された複数の科学機器のデータの詳細解析を行うため、複数の観測機器チームメンバーと研究協力を行うことになるため、定期的に行われるMAVEN計画の科学チーム会合(PSG)に参加し、探査機の運用モードや機器毎のデータ較正の状況などを正確に把握するとともに、米国の複数の機器担当者との研究打合せを集中して行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初2018年度(2019年2-3月)に開催が予定されていたMAVENの科学チーム会合(PSG)が、2019年4月以降の開催に変更になったため、PSG参加用の海外旅費と現地で使用予定のポータブルストレージ購入費用を次年度に使用することとした。 また、研究分担者のうちの一人が育児休暇を取得することになり、その前後の期間に出張を減らす必要が生じ、その分の旅費も次年度以降の使用に予定を変更した。
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Research Products
(10 results)