2021 Fiscal Year Research-status Report
Evolution of the large rivers in the Himalayan foreland basin
Project/Area Number |
18KK0096
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 孝紀 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (00303446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河上 哲生 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70415777)
江島 輝美 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (70712173) [Withdrawn]
齋藤 武士 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (80402767)
酒井 哲弥 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (90303809)
森 宏 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (80788183)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | ベンガル深海扇状地 / ヒマラヤ山脈 / 砕屑性ザクロ石 / 砕屑性角閃石 / 重鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンガルファン(ベンガル深海扇状地)は,ヒマラヤ山脈の形成を直接反映して形成された.特に,西ヒマラヤに源を発するガンジス川とチベット・東ヒマラヤから流れるブラマプートラ川の2つの大河に由来する砕屑物が堆積している.本年度の研究では,ベンガルファンから得られた堆積物コアと前陸盆地での砕屑物を比較し,その特徴を明らかにした.ただし、2020年春から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によって海外渡航が困難となり、ヒマラヤ周辺での現地調査・試料採取が困難となった.そのため,本年度の検討では2019年まで採取した試料を用いた. (1)東ネパールの新第三系シワリク層群の砕屑物組成の検討を進め,堆積相解析の結果と併せて,約1000万年前からの気候状況が変化し,河川流量が増加したことを明らかにした.また,7Ma前後に供給源での構造運動が活発化し,いくつかの衝上断層の活動が生じたことを明らかにした. (2)前年度に明らかとなった,ヒマラヤ山脈の高度変成岩を起源とする角閃石粒子の前縁盆地堆積物中の時代変遷を検討した.これによれば,中新統上部ではほぼ全てヒマラヤ山脈を起源とする角閃石で占められることが明らかとなった. (3)東インド,ブラマプートラ川上流部での現世河川砕屑物と,ネパール中央部での現世河川砕屑物の比較を行った.両者ともヒマラヤ山脈主部を構成する高度変成岩類からの砕屑粒子が大半を占めるものの,ネパール中央部ではテチスヒマラヤ起源の砕屑物が,東インドではオフィオライト帯起源の砕屑物や超苦鉄質岩起源の砕屑物が認められることが明らかとなった.これはガンジス川水系とブラマプートラ川水系が運ぶ砕屑物での鉱物量比に影響を与えると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度の計画としては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,「ベンガルファンコアや前縁盆地での供給水系識別」に注力した.その結果,砕屑性角閃石組成の時代的変化をベンガル海底扇状地と前縁盆地堆積物において確立できた.また,現世河川の砕屑物分析により,そのような鉱物種の差異が,集水域に位置するそれぞれの地質体の寄与度を反映することも確認できた. しかし,当初計画に記載された(1)前縁盆地堆積物における河川水系の識別によるベンガルファン記録の検証と補完,(2)前縁盆地・ベンガルファンの砂岩中の低度・高度変成岩片のラマン分光分析,(3)ヒマラヤ山脈における化学組成リファレンスデータの取得、の進捗については,海外渡航が困難であることから試料採取が十分に果たされず,著しく遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大により,現地調査が困難な状況が継続している.しかし,南アジアでのこの感染症の拡大は落ち着いており,各国とも入国・出国時の条件を緩和しつつある.そのため,研究期間を1年間延長し,状況の改善を見て現地調査を再開するつもりである. また,国内の大学における学外者の研究に関わる条件も緩和されつつあり,他大学へ赴いての分析等が実施可能となりつつある.現地調査が再開できた際には,試料の化学分析等も再開する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行とそれに引き続く変異株の流行によって,海外調査そのものが困難となった.加えて,予定していた既存試料の分析も,国内での移動制限等によって,限定的に実施されたのみであり,研究計画の多くの部分の実施が困難であったため,次年度使用額が生じた. 今後の使用計画として,本年秋期での海外調査再開を期して準備を行い,試料採取ができた際にはその分析に使用する.
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Research Products
(11 results)